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映画「30S」見てきました

 さなぴーこと真田佑馬くんが原案・プロデュース・楽曲作成した映画「30S」(サーティーズ)を見てきました。脚本・監督は佐藤克則さん。さなぴーの出身大学の先生でもあり、映画製作をされている方です。

www.movie30s.com

 ざくっとしたあらすじは、同じ誕生日の学生時代の仲間3人。30歳の誕生日を目前してるけれど夢や現実に翻弄されて思うように大人になっていけない葛藤の日々。そんな中、仲間の中心人物であった御手洗が失踪、そして妹と名乗る女子と共に御手洗の足跡をたどるタケルとレンカ。彼らは、失踪した御手洗を見つけられるのか、そして過去の約束にたどり着けるのか・・という内容でした。

 30歳を前にして、なんとなく抱えていた「夢のようなもの」に翻弄されて精神的な危機に陥っているタケルとレンカの描き方が思ったよりハードだったり、御手洗の存在自体の危うさも相まって、ハラハラドキドキとしましたが、30歳を一つの通過点とするならば、ありがちだけれど自分の身近にある幸せに気づくというハッピーエンドで、とてもさなぴーらしい優しい終わり方だったなあって思います。青春時代の良くも悪くももやもやした「夢のようなもの」をいったん振り切って、自分を必要としてくれる人に気づいて、27という曲の歌詞にあるように「愛の鳴る方へ」行けてよかったなあっていう・・・。きっとさなぴーをはじめ製作者の方々の実感でもあるだろうし、見ている人の気持ちを裏切らない制作であるなあって思いました。そんな路線の中では、御手洗の「妹」との真の関係性のネタあかしがとてもよくって、人って「愛」を通じてつながってるんだなっていう証のようなお話でとても好きだったですね。

 一方で、映画とはいえそんな風に上手くいくかしらとか、いや結構なヤバさを最後の最後で入れ込んできて、これが前に描かれていたら、どんな風に思ったのかなとも思ったし、ちょっと安易な感じもあったりしました。でも、そんな子どもができちゃうとか、結婚を申し込まれちゃったから決断できる・・確かにそれが多くの人にとっての「人生」なのかもしれません。一方で、バンドの夢を追いかけてまだ音楽を続けている人物に「抵抗だけでやってる」みたいに言わせてほっぽってしまうのもちょっと自分的だったら違うかなあとか思ったり。たぶん、30代だけが大きな危機ではなくって、夢との向き合い方と危機は、20代、30代、40代、50代、そこよりもっと上でもあってなんだと思うんですよね。たしかに20代の夢が30になっても芽が出ず、なんで続けているのかわからない、ただ自分にできることがそれだけだからやってる・・みたいな時ってあるし、自分もそのクチだったわけですが、その「抵抗だけのような気がして空しい」を突き抜けると、「ああ、自分のやるべきことだったんだな」という境地も生まれてくるのかもしれないと、それは30Sではなくって40S以降のことなんだろうけれど。

 でも、だからこそ「夢のようなもの」の象徴である御手洗は行方不明のまま、いったんこの物語は句点を打つのかもしれませんね。落ち着いたかに見えるタケルやレンカの前に、そして妹の前に、御手洗が再び現れるかもしれないなあなんて思ったりしたのでした。そんな「夢のような」存在であって欲しい御手洗=真田くん、には監督さんやスタッフのが方々は思ってるんじゃないかななんて。それもまた「優しさ」なのかもしれません。多くの人がご協力くださってできあがったこの映画のメッセージのようにも思うのでした。