ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

TVアニメ「テクノロイド・オーバーマインド」第11回

 とうとう最終回前の第11回が終わりました。前回の修理では、記憶の再構築が十分に至らなかったコバルトはエソラの記憶も不十分で、エソラとのやりとりや生活の中から生まれた感情や愛情をなくしてしまったかのようでした。残された記憶の断片からエソラを責めるコバルトの言はある意味真っ当なもので、その苦しさに耐えかねたエソラは姿を消してあの出会いの橋の上で絶望にむせび泣くのでした。その様子を見つけたのが、一ツ橋海翔(カイト)さん!彼はエソラのただならぬ様子を感じ取り、怒りつつも保護的に接します(ここすごく重要です。スタアロ歴的に)。

 一方でコバルトの変節を必死の思いで自分たちの経験したこととエソラへの愛情を復活させようとするケイ、クロム、ネオン。エソラと海翔に再び出会うノックスたち。お互いがぶつかり合う中で、エソラはお互いの「優しさ」がお互いのKokoroの始まりだったと気づきます。そして、優しさを思い出したコバルトもエソラの記憶と感情を復活させ、その始終を寄り添い目撃し、海翔はアンドロイドへの考え方がよい方に変化し、5thステージの対戦を本物のクライマー同士の対決として強く望むようになったのでした。

 しかし、この世界の統治機構であるワールドガバメント(WG)は自我や心が発達し始めたアンドロイドを倫理に反するものとして全員まるっと捕縛してしまいます。一応裁判形式でエソラとノックスたちを糾弾しますが、結論は、強制シャットダウンか全データの削除か。ともあれ、ノックスの4人に芽生えた自我(こころ)は、そして白秋博士が作ったと言われるkokoroプログラムも危険物として消される運命に・・。エソラもノックスたちも必死で自分たちの思い、自然に発生した心を消さないでと切実な思いをぶつけます。その様子を見ていた、裁判の傍聴になぜか巻き込まれた海翔さんは、更に、彼らは本物であり、彼らとクライマー同士対決せねばならないと、まさしくテクユニのカイトさんらしい強い男気を見せるのです!(本当にこの回のカイトさんの中の人の古川さんのお芝居の振り幅すごすぎる!)。

 そして、この窮地に介入してきたのが、あのロボットは排斥派であるはずのキリヤでした。なぜかWGの実力者である彼は、5thステージを彼らにさせようと提案し、WGの裁判ボードもまるっと丸め込まれてしまうのでした・・。しかし、キリヤの真の目的はアンドロイドであるノックスをロボット排斥に流れようとする一般市民を焚きつけて、ロボットの排斥への決定打にしようとしているのでした・・。一方で、人間とロボットの融和にはエソラとノックスのように、ロボットにkokoroを持たせることが必要であり、それによってロボットが差別されることがない世界を作りたいという願いを5thステージにかけるノックスたちなのでした。

 さて、一方でノーベルに拉致されたといってもよいボーラさんにノーベルは、彼の心に芽生え始めた自我(心)を、kokoroプログラムのインストールによって完成させようと、まるでアダムとイブに知恵の実である林檎を食べさせようとする蛇のような誘惑を仕掛けるのでした。ボーラさんはこの誘いに乗ってしまうのか、そして、新たなkokoroを持つ者として荒れ地に追放されていくのか、それとも狡噛さんよろしく自分から出奔するのか・・そんな最終回前の11回でした・・。

  • 今回も2回本編を見たきりなので、まずはざざざっとあらすじを書いてみました。いやー、ここに来てのWGのがっつり登場。今回もテクノロイド(ゲーム&アニメ)の物語の軸となる、そして、テクユニの冒頭での流れにつながるような背景であったり、仕掛けがみちみちと詰まっていましたね。10年前のノックスがバベルの頂点に立った後、記憶が消された形で、バベルの倉庫に眠ることになる理由と筋道がだいたいつながってきた気がします。
  • 勝利した彼らの望み通り、アンドロイドがkokoroを持つことを許され、アンドロイドの自律が許される世の中になる。しかし、それを先導したスーパーアンドロイドやスーパーマッドサイエンティストがいることは、WGには都合が悪い。だからWGはノックスを排除しようとした(ゲームでは過去を知る人の記憶が消されている)。エソラも彼らも、アンドロイド全体の幸福を考えて、それを受け入れたけれど、何者(まあノーベル≓白秋博士ですよね)かが、ノックスをさらって(笑、ノックスの人格のコアな部分(kokoro)が残るような形で眠らせた・・のではないかと。テクユニのメインギミックである「林檎」という音楽によるウィルスにはkokoroを発達させる、あるメロディを聴かせないと目覚めないという機能を持ってるので、なんだかもしかしたらソレかなと思ったりします。
  • 個人的には、使われていない広大な記憶領域があること経験によって、kokoroの原型がつくられていくという発想が好きなので(今流のAI論ですし)、ある一定のkokoroの形をインストールするっていう、この11話で出てきたノーベルの話はあまりピンと来ないのですが、上にも書いたようにテクユニで出てくる「林檎」というプログラムとも通じる発想なのですごく興味がわいてるし、一体どう転ぶかですよね・・。
  • でも、そういうテクノイドの縦軸の流れも大切ですけれど、やっぱり今回は、エソラとコバルトの絆をリブートするのが「優しさ」という感情であったのが本当にkokoroにしみました。孤独な存在、しかし求め合う心同士を結ぶもの、そして回復や再学習を待てる心としての「優しさ」。コバルトがなくしてしまった大切な記憶を欠落したところで終わるのではなく、元に回復するものとして描く過程で必要なものとして描いてくれたのはよかったなあとしみじみしました。だからこそ、海翔さんは、ノックスは「本物だ」「人間と変わらない心を持ってる」と感じたんじゃないかなあ。。。。
  • その「優しさ」の連鎖を考えると、ノックスのモデルとなった4人のお話はあれで終わりなのかなあとつい考えてしまうんですよね。エソラは彼らのことはもう覚えていないのかしら・・。あの花火の光景が何度も出てくるけれど、あれは誰の、どこの記憶なのかな。個人的にはエソラに関わった人が何か、思いをつなげていってくれているといいなあとつい思っちゃいますね。
  • 更には、今回、「心」のありようを考えると、11話のエソラを見過ごせなかった海翔さんは、不器用だけれど子どもへの愛情がいっぱいで、本物のパフォーマンスにあくまでもこだわりがあって、そのための男気をいくらでも見せちゃうという、ゲームのカイトさんと本質的に同じだったわけですよ。こうした「こころの同一性」であったり「こころのつながり」みたいなものを描いてもらえたら嬉しいんですけれどね~。どうだろう・・。でも、ファンの多くも期待してる気も。
  • と、アニメテクマイの現在の流れに沿って、感想を書いてみましたが、当然のことながら、あと1話で、一ツ橋兄妹と北ノ丸ナイトライトのお話が収まるのか(そして、アンドロイドスタアロとの関係も!)、更には溶鉱炉のミスターの顛末、ボーラさんは林檎を食べるのかどうなのか(とつい書きたくなる)、ざっと書いて3つは大切なお話が残ってるのですよね(まだあるかもしれない・・)。
  • うん・・・いやー、2021年11月のプロジェクトの立ち上げから1年以上、スタアロや萩ちゃんが初めて声優として演じたライトくんを推してきたものとしては、本当に気が気じゃないんですよね・・。彼らにも語るべき物語がたくさんあるはずで、それは、きっと、あの超高熱化の厳しい時代にあって、人間とアンドロイドの融和につながるものであるので・・。それを今回の12話に納めるのは難しいのかもしれないですが、テクマイ円盤4巻のあの素晴らしいナイトライトの表紙が、言葉として、映像として語られるものになるといいなあと祈っております。
  • それにしても、このところのゲームのテクユニの、孤児院へ行くスタアロとケイのお話であったり、製造日が一緒の同型機とはいえ多くの場合には容姿まで似せることはないであったりとか(なんとライト×アウル、ナイト×シルバの2話分も!)いつもとは違う孤児院へフランちゃんとお仕事しに行ったカイトさんのタイミングよい復刻とか、スタアロコンシャスなのはなぜに?とついつい気になっちゃうんですよね~。まー、あんまり出演させられなくてごめんなさいね、ここれでガス抜きしてね・・っていう意味なのかもですがーー!
  • ともあれ、TVアニメ「テクノロイド・オーバーマインド」は残すところあと1回。ひとまずの区切りとして、語るべきことを語り、語れなかったところをちゃんと明示してくれるとずっとずっと応援しつつ待っていますね~!