ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

まずは率直な感想を

 TVアニメ「テクノロイド・オーバーマインド」、全12話、とうとう完結しちゃいましたね~。前半は特に誰が見てもいいお話がいっぱい詰まってたし、後半になればなるほど簡単には話を進めないぞ!的な気合いがあふれていて、ジェットコースター的なところもあったし。そして、テクノロイドの主人公であるノックスとエソラのオリジンと、彼らのkokoroの成長、そして彼らの望みの顛末のあたりは、きちんと、それこそスタッフのが方々がおっしゃるように「ハートフル」に描かれたとは思うのですよ。

 エソラが幼い頃、死んでしまったノックスのモデルの4人との思い出をしっかり思いだし、彼らの後継であるアンドロイドの4人と、その過去を前向きに肯定できたところとか、アンドロイドと人間との関係を考える上で見たかったシーンでしたね。そして、最後、寿命が定められたアンドロイドたちの成長を考えて、エソラが家にとどめておかず、彼らを送り出すという結末もそういう点でよく考えられていてすごく好きでした。それらの背景に「愛」という感情が生まれたからこその新しい一歩。あと、唐突に見えた、アンドロイドのkokoroを認めるのと同時に設定された「寿命」のことも。心理学では、人間に寿命があることと、感情の発達、人間が感情優先に動いたり、「幸せ」というものを求めることは密接な関係があるものとして考えられていて、その機序のスタートキーとして「命が限られている」ということが発動することであるという理論(社会情動的選択制理論)があるのですが、それを思い起こさせて、テクユニの話にもつながるし、面白いなあと思ったのでした。

 ただ、これは自分の視点で好きなところではあるんですけれど、少し人間の心の機序とアンドロイドの心の機序を同じものとして描きすぎているところもあるのかもしれません。本当にそうなのか、人間がアンドロイドを「機械」であるとして、人間とは同じに扱うことができないとする「排斥派」は単にロボットを信頼できない劣ったモノのとして考えているからだけなのか・・この第12話でこのあたりがすべてキリヤの策略に帰着してしまったのは、主に中盤にあった社会と人間とロボット的な展開を考えるともったいなかった気がするのですよね。テクマイが描いてきた人間の限界みたいなものがうまくメインストーリーに絡んでくるかなと感じていたので、かなり残念だったでしょうかね~。まあそのあたりは今後もあるかもですが・・。

 ゲームからアニメ12話を見続けてきたものとしては、そのあたりの新たな事項(謎)配置していくことと、うまくつなげながら回収していくことにちょっとデコボコがあったなあと感じられましたかね。上に書いたこともある意味もっと時間をかけてお話しして欲しかったし、大好きなスタアロについても、12話で、3人が一蓮托生の意を固めた「あの日」の話があるんだとか、ライトとナイトの人格的な掘り下げとか、そして、結局ナギちゃんの治療のことであったり、彼らと同じ名前(と人格ですよね)を持つアンドロイドが生まれるのか、いろいろと空想を刺激してくれるお話をいっぱい詰め込むことになり。他にも、ボーラさん逃走劇から探偵へはいったいどうなるのか。独立したノックスたちはいかにしてバベルの倉庫で眠ることになったのかとかもあり、そこらはしっかりと語って欲しかったのに語ってもらえなかった・・。当初、ゲームの10年前を語ると話されていて、始まってみればゲームとアニメの10年の間に、今回語られない「謎」がたくさんあることが匂わされ、そして、その続きがあるかどうかわからない・・。どうしたらいいのよ~!とそんな気分に正直なってはいます。でも、そのあたりは一ファンのちょっとした違和感なのかもしれず、テクユニ過ぎすぎてそれを重く感じてしまうのかもしれないですね。贅沢なことを言ってるのかもしれません。うーん、いろいろと考え込んじゃう・・。

 それでも、どんどんスピード感あげて、用意された(と思われる)事象を、そして人間関係を語っていくことで、登場人物たちへのすべてへの愛が更に異常に増してしまったのは本当ですし(最終回でのライトくん、ナイトくんよかったよなあ・・だからこそ哀しいのだけれど)、楽曲とそこで示されるパフォーマンスの説得力ってすごいモノがあったですよね。スタアロの新曲、あまりにもパワフルでしたし、ノックスがあそこまでの歌を歌えたことの感動。あの歌の強さに物語を全てかける凄みみたいなところに至ったのは本当によかったんですよねえ。

 そして、5thステージの前に「俺たちは一蓮托生」とナイト、ライトが差し出す拳に、カイトさんの拳がこつんと当たる。その何気ない動きや拳の当たる音に、スタアロの見せなかった絆を強烈に感じて、本当に本当に感動しましたよ。動く絵だからこそ、暖かな音がある絵だからこそ感じる命の厚み。アニメっていいなあってほんと泣けちゃいました。そして、ライト役の推しの萩ちゃんのセリフ、本当によかったなあ。「うちのセンター殴ろうだなんて」のセリフの体の底からでてくるじんわりとした凄み。絵に声が貼りつくんじゃなくって、自然に絵がしゃべっていて、背中がゾクゾクしましたよ。本当にゲームのはじめ頃からすれば、本当に声優さんらしくなったなあと。声優として「0から1」になったのが、テクノロイドという作品で、ライトくんという役で本当によかったと心から思いました。

 色々と思うところはあるけれど、ぜひ、またテクノロイドの物語をアニメーションで見たいと思っています。それだけは偽らざる熱い思い。どうかそんな日がくるように応援を続けていきたいと感じています。