ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

配信のことメモ

 2020年8月9日、安井くんが出演している「舞台死神遣いの事件帖ー鎮魂侠曲ー」の大阪公演も無事千秋楽を迎えて、ほっとしている翌朝です。なかなかコロナウイルス感染流行の勢いが収まらない中、舞台関係では細心の注意と大きな努力を払って1つ1つの公演を開催しておられます。最近では、コロナウイルスへの感染に関わらず、キャストやスタッフのちょっとした体調不良があっただけでも、念のために一時的に公演を中止するところもあるようです。コロナだけでなく日々の体調不良や普通の風邪などのちょっとした体調不良は2~3カ月に一回はあったりするもの。それを思うと、無事に公演を続けていくというのは、まさに努力と運の両方に恵まれなければできないのだなあと、改めて自分が持てている時間を更に大切に想うことが大事なのでは・・と感じる今日この頃です。それにしても、うちの子たちを応援していると、「今この時の大切さ」を実感することが本当に多いなあ(もちろん多くの芸能人の方がそうだと思うのですが!)となんだかしみじみしてしまうことが多いですね・・。

 さて、そんな中、その「しにつか舞台」はこれまでにすでに3回ライブ配信とそのアーカイブ配信がありました。そして、嬉しいことに8月15日の広島での大千穐楽公演もライブ&アーカイブ配信が発表。なおかつ台湾と日本と同時の映画館でのライブビューイングもあるとのことで、本当に東映さんの太っ腹な決断に心からお礼を申し上げる次第です。今のところ、配信映像も3回とも少しずつですがアップや引きの場面が違っており、毎回毎回違う演劇というもののライブ感を少しでも伝えようとしてくださっているようにも思えて、更にありがたいなあと思うのですね。まあ、しにつかの場合には配信料金も5000円とそこそこ高い金額に設定されているので、ついついもっともっとと欲が出てしまう一視聴者です(笑。とはいえ、もちろん、配信が舞台のすべてを届けてくれる訳でもないし、劇場で生で舞台を経験してこその演劇なので、根本的に劇場に行くのと配信が同列になることはないのでしょう。ただ、やっぱり、配信ならではのメリットはあり、そこも大切にして、これからを考えて行っていただけたらなあとは思うのですね。そんな訳で、配信のメリット・デメリットをちょっと書いておきたいと思います・・。

  • メリット1:劇場に色んな状況で行けない人がその舞台を見ることができる。当たり前の答えではありますが、これに尽きると思います。今回のコロナ流行では、色んな事情で舞台を見に行くことを断念した方がいたのは大きなことでした。どんなに主催者の方々が努力されても、お客さんが劇場に行けるかはまた別の問題があるということが明らかになったのが今回のコロナでした。でも、配信があれば、十分とは言えなくても、そこに参加することはできるのは本当に大きいことだなと思います。コロナのことだけじゃなくても、舞台がやってる地域から遠く離れたところに住んでいる人、毎日忙しくって舞台に行く時間を作れない人、大人気の舞台のチケットがどうしても取れなかった人、病気や障害があって舞台に行くのが難しい人、お金はないけどできる限りの応援はしたい人・・色んな事情で「そこに行けない人」に寄り添ってくれる、気持ちを癒してくれる、行ったファンと行けなかったファンの間を平らかにしてくれる可能性を持つのが配信・・と更に思いを強めた今日この頃です。そして、それを考えるとアーカイブって本当に大切なので是非にと・・・。
  • メリット2:新しいファン、次世代のアーティストを作る可能性が高くなる。これもまた配信サービス業者の方の受け売りみたいな感じのことですが、できるだけ多くの人に伝わるメディアでの発信することは、そのものに「出会ってしまう」ファンやアーティストを作り出すきっかけになるとやっぱり信じている昭和のおばさんだったりします。田舎に住んでいたので、TVの舞台中継は本当に大好きでした。うちの子たちに出会ったのもやっぱりBS番組でしたしね。プロスポーツが安定した運営ができているのもやっぱりメディアに乗ってるからで、そこから次世代の選手や担い手が生まれてくる。生が「本当の世界」だとしても、そこに誘うのは何かしらの媒介物つまりはメディアなんだろうなあと思いますし、配信はそこに迫る力があると思います。
  • デメリット1:配信は「映像作品」であること。デメリットと言っていいのかはわからないのですが配信はカメラを通して行われるので、そこで演劇から「映像」への変換が行われてしまいます。「会えるアイドル」から「画面でみるアイドル」への変換がある。5Gによる技術がこれをどう変えるかはわからないですが、それにしてもやっぱり「映像の集積」になるんだろうと思うんですよね。そこをきちんとわかって、配信という「映像作品」を作れるのか、作ろうとしていただけるのかが見る側としては大きいなあと思います。コロナ禍が去っても、求められる新しい表現の形を作る・・・そういう気持ちが大事なのかもしれません。
  • デメリット2:生よりも良し悪しがはっきりする。これも純粋なデメリットではないのかもしれませんが、画面を見ている視聴者は舞台の熱狂を直接感じることはできないので、舞台に入る時よりも色んな悪いところを発見していきます。お手軽な分、冷静に、更に多くの判断要因が生まれてきます。その中で、満足をもたらすことができるのか、きちんとコストとパフォーマンスのバランスが取れるのか、発信者側の負担は思った以上に大きいのかもしれません。
  • デメリット3:人と人が集まる機会が少なくる(かも)。これは配信の直接の問題ではないとは思うのですが、もし配信というメディアがうまくいくと、それこそ1回本番舞台を録画して、編集して、繰り返し配信すればいい・・みたいな流れになる恐れはあるのかもしれません。やっぱり生の表現形態というのは、キャスト、スタッフ、そしてファンも一緒に何度も集うことで、舞台で(を)表現することを繰り返すことで、語り合い、つながり合うことで、表現が作られていく・・その人間同士のコミュニケーションを基盤とした「ものをつくること」の輝きみたいなものなんだろうなと思うのですね。配信がそれをサポートするのならいいのですが、配信がそのかたちを崩すようなことはあってはならないのだと思うのです。

 本当に上っ面しか書けませんでしたが、それでも、やっぱり願ってしまうのは、配信(アーカイブも含めて)はより多くの人、色んな状況の人を、ひとつの作品に繋ぐ可能性を持った大きなパースペクティブだと思うので、どうかもっともっと大きく育っていってくださるよう応援したいなあと思うのでした。