ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

「舞台『DECADANCE』-太陽の子-」感想

 ながつこと長妻怜央くん出演のディズグーニー・舞台『DECADANCE』-太陽の子-に行ってきました。今回は1月25日夜(赤坂ACTシアター)と2月9日大千穐楽(森の宮ピロティホール)の2回でした。もう少し行きたかったんですが、ちょうど萩ちゃんのプペルと被っていたり、仕事の忙しい時期と重なったり、大阪遠征を決めてちょっとお財布厳しかったりで。とはいえ、今回、9日にデカダンとモマを大阪で見て、舞台を見るという面でとても楽しい経験をいたしました。どちらの舞台もお客さんがステージと一緒に笑ったり泣いたり、拍手したり、大いに盛り上がっていて。お客さんを舞台に楽しんでいることがストレートに伝わってくるんですよね~。見ているこちらものびのびと喜怒哀楽を表に出せて、更に観劇の楽しさが増した気がします。また大阪で舞台見たいなあって思ったりしています。

 さて、ディズグーニーは萩ちゃん出演のPSY・S(サイズ)に続いて2回目。今回のデカダンは革命の動乱の最中、守るべきものを守るために、荒々しくぶつかり合いながら、血を流し、新しい時代を切り開いていく人々の壮大な物語で。その中で中心となる4人の幼馴染みの若者たち、テイラー(塩野くん)、マリウス(ながつ)、ジェンバ(猪野くん)、パサド(小南くん)がどのように自分の思いを、そして愛する人への思いを叶えていくのかが、ドラマチックに描かれておりました。王妃や王妃の現在の夫という敵方も含め登場人物たちは、共通の秘密(王妃が生んだ魔女とされる女の子アンナ)を持ちながら、その解決に努めたいと思いながらも、お互いにお互いを思いやっているのに、色々とすれ違ってしまう。そのすれ違いだったり、隠された思いが、悲劇を生んでいく。まるで大きな歴史の流れがその悲劇を待っているかのように濁流となって人々を押し流していく。その中で、昔は太陽の子と言われていたけれど今は自暴自棄になっていた主人公のテイラーはようやく「自分たちは太陽の中心だ」と気づき、自分たちで立ち上がる力を得る・・というお話のように感じました。

 個人的に、王妃エリシア(田中さん)、その夫シオン(谷口さん)、神父様(萩野さん)の大人チームが人物造形や演技が本当に素晴らしく、国や隠された子を思う気持ち、そして若者たち(まあマリウスですが)を思う気持ちが暖かで理性的で理想的あったので(本当に素晴らしい造形だった!)、ああいう崩壊を遂げなければならなかった運命というものに動揺するくらいでした。でも、それを思うとこの物語の本当の主人公は国の崩壊(=革命)をもたらした「運命=魔女伝説」(そして必然的な歴史)だったり、その運命に立ち向かうというよりはその歯車、それぞれの感情や理屈を持つけれどもどやっぱり突き動かされる歯車を求める「歴史観」だったりするのかなと思いました。そしてそれでも「立ち上がれ」という叱咤激励のテーゼみたいな・・・。個人的な好みとはちょっと外れていて(サイズがジャスト好みだったということもあり)、苦手なお話かなあって思ったりもしましたが、その因果は巡る糸車的なものはとても物語的であり多くの人の心を震わすものなのかもしれませんね。

 そんな中でながつがいただいたマリウスという役はこの物語のすべての引き金を引いている様な大きな大きな役でした。もうねえ、本当に大きな役。こんな役をいただけるなんて心からお礼申し上げます・・・。さて、腹違い(たぶん)の姉エリシアへの秘めた愛と敬意(彼女が王になるべきとも思っていた)と彼女が生んだ「魔女アンナ」を守ろうとする思いと計略、そしてその底に更に秘めていた王国の崩壊への渇望と太陽の子テイラーへのライバル心。動く物語のすべての中心に彼がいるようなそんな役。全部自分で初めて、全部自分で壊して、大切なものだけ残して自分は消えたいとでも言いたいようなそんな役でした。ひたすら自分の思いを秘めて、愚直にそして美しく進んでいくマリウスの孤独な魂をながつは存分に演じていたように思います。自分の身にふれようとするものはすべて滅する、切り裂くような殺気を常に放っていましたし、エリシアやテイラーへの生の思いが溢れだす場面での、その心の痛みのエネルギー。しっかりと演じ切っていたように思いました。

 なにより外から見える姿かたち、そしてダイナミックで美しい剣の殺陣が素晴らしかったですよ。長いマントを翻して、その大きな体躯を更に大きく美しくも躍動的に見せる動きはながつこと長妻怜央の代名詞になりそうなくらいでした。ながつにはマント!そんなことがいいたくなるような美しさ。そして、殺陣が素晴らしい。今回のデカダンカヤル役の中村誠治郎さんを中心として、ディズグーニーの名物の一つである速くて横に展開していく華やかな殺陣がたくさん散りばめられていたのですが、ながつのマリウスの殺陣はちょっとだけ趣が違って、その大きな体を活かした縦の動き、剣を振りおろしたり、足を高く上げて蹴り「下げたり」がダイナミックで、リアル感があって、この錚々とした使い手の人々が集う中でも異彩を放っていたように思いました。素敵だったなあ・・DVDが本当に楽しみです!

 とまだまだ書きたいところはたくさんありますが、特に25日と大千穐楽では大違いだった4人組の、役を活かす、役を生きるお芝居の変貌ぶりも素晴らしかったですよね。塩野さんがテイラーについて色々と考えて悩んでいたようにも思うのですが、その思考&試行研究はしっかり実っていたようにも感じました(塩野さんの役を考え抜く忍耐力みたいなものにはとても心打たれました)。若い人たちが重い役目を与えられて、また伸びていく姿を見る幸せ。そんな楽しみもたくさん詰まっているディスグーニー・デカダンでした。ぜひぜひまた萩ちゃんを、ながつを、新たな7ORDERメンバーを乗船させてくださいね~。そして、そうであってもそうでなくても、また次の公演には乗船する予定です。どうぞ長きにわたるお付き合い重ねてお願い申し上げます!