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Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

「えんとつ町のプペル~THE STAGE~」の萩ちゃんの演技のこと

 さて、まだまだ「えんとつ町のプペル~THE STAGE~」の振り返りしますね~。先日、萩ちゃんのブログでの振り返りが掲載されましたので、まずはそこから。

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 キャリアというか場数(とその質)では大先輩の須賀くんが見せる柔軟かつシュアなお芝居(要求されているものがスパーンと自然に出てきている感じとか、そのもひとつ上の姿を見せてくれる感じとか)に素直にリスペクトを表明し、かつ「負けたくない心」も教えてくれた萩ちゃん。初めての主演の萩ちゃんのプペルがどう演じたのか、ファンの欲目ばかりの視線ですがちょっと考えてみたいと思います。

 前のブログにも書いたように今回の「えんとつ町」ではアクションを起こすのはルビッチであり、プペルはそれを見守る人、ルビッチの心の中にあるトゲみたいなものをケアする人と位置付けられています。それに対して、萩ちゃんこと萩谷慧悟くんはそれを何倍にもそのまままっすぐに増幅するお芝居をしてくれた気がします。

 生まれたばかりの心優しいゴミ人間プペル。ハロウィンパーティの賑やかさに心躍らせ、名前をつけてもらったことに喜び、仕事ができることにやりがいを感じ、ルビッチの失くした形見のブレスレットを自分の体が臭くなっても探し、ルビッチの夢を一緒に楽しみ、人々に熱くまっすぐ伝えるプペル。無垢で、純真で、まっすぐに信じるプペル。そのエッセンスは、彼が何度も浮かべる笑顔。ぱーっと目を見開いて、その後両手を胸にきゅーっと寄せ、くしゃくしゃの笑顔になる。目とお口のラインが半月のように大きく弧を描いている。喜びと優しさが詰まった笑顔が本当に素敵でした。

 そんな無垢でちょっと不器用(いつもの萩ちゃんよりもトーンと速度を落とした朴訥なしゃべり方のプペルが、表情を変える時がある。それは、ルビッチの父ブルーノの魂が復活しようとする時。ブルーノの教えと歌をルビッチが思い出す場面。ルビッチと(ルビッチが回想する)ブルーノが唄う姿をえんとつの上から眺めるプペル。それまでの無垢な顔とは違ったいぶかし気で感情がどこにあるのかわからない無表情さで少しずつ歩を進めていく。歌出てくる「黒い煙の」の部分だけ少しだけ唇を動かし、何かを少しずつ思い出していく。そして、ブルーノの幻影に乗っ取られたかのようにブルーノと向き合い声を合わせ、「信じ抜くんだ、たとえ一人になっても」と歌い上げる時の逞しさ。そして、ブルーノは消え、呆然としているプペルが何かに気づき頭に手をやり、それが何かがわかると、厳しい表情から一転してあのプペルの無垢な笑顔が顔いっぱいに広がるんですよ。その転換の鮮やかさが素晴らしいというか、プペルとブルーノは基本違う人格だけれど、それを宿す瞬間があるっていうのが上手に表現できていて、プペルの心根を焼き付けてくれるようで本当に素敵でした。

 萩ちゃんの演技はよくまっすぐと言われますが、個人的にはどちらかといえば、こちらの皮膚感覚、痛みとかヒリヒリさとかぬめっとした感じ(イケダンMAXの鳥人間さんとかですね)とか、そういうところに直接働きかけるような造詣があるように感じています。この舞台だったら、子どもまで泣いてしまう名場面となったアントニオに乱暴される部分。あそこで耳を取られてびっくりし、痛みを覚えるプペルのお芝居には誰もがその感覚に響いてきたはずです。耳をはがれ低いところで体をぐあっと浮かせてしまう動き、うずくまるプペルの心の悲鳴、そんなものがズキズキと伝わってきて、凄いなあって感じました。前にめちゃ推していた窪田くんを思い出させるようなところ確かにある気がします。でも、そんな生まれたばかりの未知の生物であるナマ感覚なプペルもとっても素敵なのですが、それでもやっぱり舞台のクライマックスで完全に思い出されたブルーノの力強さでうわーっと盛り上がった後に、フィナーレの「えんとつ町のプペル」曲で、可愛くてピュアなプペルがステージに戻ってきた時の劇場皆が幸せになる感じを振りまいているところにきちんと帰結させることができたのは、本当に素晴らしかったなあって思うんですね。きちんと人物像を貫けた萩ちゃんのストーリーを読み込む力と、「ハッピーであること」の大切さを分かってること、よかったですよ~。

 技術的なところでは、ピュアなプペルとブルーノ憑依型プペルの2種類の声でしゃべったり歌ったりするのはやっぱり凄いなと。ピュアなプペルの声も先ほど書きましたが、斬月、ダークアリス、プペルと声を操るお芝居が続いているので、もっともっと磨きをかけて成長していくと萩ちゃんの演技の特徴や売りになる気がします。これからも頑張ってね~。そして、たくさんのダンス。萩ちゃんのダンスがこんなにたくさん見ることができたのは本当に初めてでした。萩ちゃんらしい、楽しさとか躍動感を体中で表現する、そしてちゃんと客席のお客さんへのアピールを忘れないダンス。フィナーレの、ぴょーんと飛び上がって踊る部分でがっつり前方姿勢をとって足をぐっと曲げるところの圧がすっごく萩ちゃんだなあって思いました。フィナーレで下がったり上がったりする場面で列の違うスコップさんとアイコンタクトするときのお互いに向かえ合う感じのアイコンタクトが凄く好きでJrっぽい動きだなあとも思ったりして。おそらく、こんな風に、萩ちゃん全開なダンスが見ることができる機会もそうはないと思うんですよね。これから増えていくであろう、7ORDER全員でのダンスはもっとスタイリッシュな感じになるでしょうし、もしゴリゴリのダンス舞台にでるとしたらその舞台に合わせたものになるでしょうし、なかなか得難いものを見せてもらったなあと。

  あと、上の萩ちゃんのブログによれば、舞台化粧も自分でやり、話題だったネイルも自分でどうするかを考えてアレンジしたとのこと、当たる光で緑だったり、黒だったり、輝く星だったり・・ゴミ山で生まれた真っ黒な爪のその奥には、綺麗な星空が輝いている小宇宙・・という解釈であり表現なのでしょうか。自分の中でしっかりと考え、それを表現する手立てをまた新たに一つ見つけた萩ちゃん本当に自慢の自担だなあって惚れ惚れしますね~。

 いやあ、さすがに主演の舞台、見るべきところが本当にたくさんあって嬉しくなります。今日で大千穐楽が終わってちょうど1週間ですが まだまだ目の前に色んな光景が浮かんできます。何より大事なのは、萩ちゃんがブログに書いているように「最終的にたくさん歌ったな~」という歌。初主演舞台がミュージカルに近いくらいの音楽劇になるなんて誰が思ったことでしょう・・。次にはその歌のことを少し振り返ってみたいと思います。