ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

ユリイカメモ その1

  あの硬派な文化批評誌ユリイカが今の男性アイドルの昨今を特集する、そして私の大好きな7ORDER projectの巻頭インタビューというびっくりする展開で、本当に久々に手に取ることになったユリイカ。色んなサブカル(と言っていいかな、この時代においても)を扱ってきたユリイカが満を持して特集した男性アイドルだったせいか、それぞれの、全部のテキストの密度の濃いこと、濃いこと。さすが勢いのあるジャンルっていうところかもしれません。みっちりと論考されたそれは、日本に現在あまたあるアイドル的な立ち位置を持つ男性エンターテーメントの百科事典のようでした。日ごろ、どうしてもうちの子たちばかり見ているBBAな自分にはとても勉強になる本だなあって改めて感じましたね。アイドルに対しては単なるユーザーな自分だけれど、考えることで広がり、あるべきところを見つけ出し、愛を深めていく、学問のパッションが感じられました~。

 さて、そんなところに、今現在のアイドルでもあり、本編でもかなりの分量で語られるジャニーズ事務所出身の7ORDER projectのインタビューがぽーんと載っているわけですね。でも、彼らの出自も、現状の立ち位置も解説というか色付けされないまま、彼らがあーでもなく、こーでもなくと語ってる様子が載っていると。とりあえず、特定の見方をしないで、彼らのいうこと聞いてみて、これが令和になった今のアイドルの肉声・・みたいな提示のされ方に、いや、7ORDER projectでいいの?みたいななんだか嬉しいような心配なるような感じもありましたが、当の本人たちは気負わず、いつも通りの「それぞれの」彼らだったように思いました。何より面白いのはその平熱感。自分のいる場所を俯瞰から語る・・それは7人だからできたことかなあ、ひとりだったらそれぞれの思いをもっと熱く刺激的に語っていただろうなってふと思いました・・。さて、最初にざくっと読んだ時の感想を箇条書きにメモしておこうと思います。

  • ユリイカの座談会、不思議な面白さだったな。とても自然に、本質的なところで「アイドルとは」って考える座談会。言説にかっこいいとか頭いいとか言った気取りもなく、一人一人違う肌感覚で話している。それでも、7人での会話として成り立っているのが、私の大好きな7人だなって。それにしても、彼らの行く末の一つとして語られているのが、「最後にじいさんになってみんなで笑っていたい」なんだもんなあ・・。そのために再結集した7人だと思うと本当に胸が熱くなるし、一つの新しい在り方かなあってちょっと感じた。
  • 彼らのいいところは、7人とも、とっても素朴だけれど、自分たちの経験と、それぞれの感覚で考えているところ。そして、その上に、歴史と広い視野をもって、考えようとしてるところ。哲学や学問の基礎、人が物を考えるよすがみたいなところが感じられるのが心強かったなあ・・。生きぬく力の基礎がちゃんとありそうなそんな誠実さだったと感じましたね。
  • グループとしての彼らについてトータルで感じたのは、少なくとも表面的には全然急いでないんだなってこと。これは、再始動してからずっと感じていることだけれど、自分たちの来し方と行きたい未来をひとつひとつ考えて行っていって、その中で「アイドル」としての実像が現れたらそれでいいと思っていそうな感じのする2019年の夏時点って感じでしたね。
  • 幼い頃からジャニーズで育ってきた彼らには、「アイドル」って国籍みたいなものだと思うんですよね。例えば、面と向かって、あなたにとって日本とは、日本人とは聞かれて、自分の中の当たり前だった定義を、改めてその内容とかとか広がる世界をもう一度考えるみたいなところがあったのかなあって感じました。
  • たぶん、彼らはこの雑誌の中で論じられているアイドルの広がり・・それこそマッチや聖子ちゃんが「アイドル」だった頃から、2.5の世界とかワールドワイドに広がるアイドル世界まで全部「アイドル」みたいな世界に至る経緯を、自分たちも戦う中で見てきていて、アイドルを成り立たせる色んな面を見てきている・・。自覚的ではないかもしれないけれど、このユリイカの中で語られていること色々と経験してきているから。どんなものを作り上げていくのかなあって、更に楽しみになりましたよ・・。
  • 7人ともとても興味深い言説をしていて、またじっくりまとめてみようっておもうんだけれど、萩ちゃんファンな自分だから、彼が「誰かに夢を見させることができる存在になりたい」っていうのに胸が熱くなって。彼があるアイドルの姿に夢見て、ここにきたことを忘れていないんだなーって感じてぐっと胸が熱くなりましたよ・・・。
  • そして、やっぱり萩ちゃんの言葉は面白い・・。なんか意味をすっとばすことで、自由さを得る言葉な気がする(あられおの意味や本質を射貫く言葉とまた違うんだよね)。例えば、萩ちゃんが「ワールドワイドな活躍をしたい」って言った場合、それはビルボードで1位を取りたいっていう意味じゃなくって、カリブ海の小さな島で演奏会したいとか、サンゴ礁の綺麗なとことか、野鳥の楽園とかで活躍することだったりするかもしれないなってふと思いましたw。注意した方がいいですね。いや、楽しいわーー。
  • そんな訳でまだまだ読み込めるユリイカ男性アイドル特集号、また気が向いたらメモ書きます・・。