ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

社中テンペスト6回目(1/21東京千秋楽)

 あっというまに少年社中さんのテンペストも2024年1月21日のソワレを持ちまして、東京公演の千秋楽となりました。ありがたいことに何次かの抽選でチケットがゲットできたのでサンシャイン劇場の2階最後列で見ることができました。お芝居の見え方聞こえ方については何の不満もなかったですが、2日連続で登山するかのごときの階段上りは結構大変でしたよ~。2階くらい偽ピークもあるしな!

 そんな2階席に入って最後列から見える舞台はかなりの天井桟敷感がありました。2階席でも2~3列前だと船上のところがちょうど自分の視線の高さになるのですが、最後列ではそこでさえ見下ろすようで。ちょっとだけ残念感がありながらのOPとなりました。しかーし、始まれば意外と近くに見えるし、センターで萩ちゃん演じるゲキが躍る時に、こんなに綺麗にピンスポット、当ててもらっていたんだと感動。音もいつも以上に生音に近い、手を加えていなさそうなストレートな音色の加減とか、色んな面で本当にドンピシャに感じることも多くって、気持ちの良い観劇となりました。おそらくこれからも少年社中さんはこの劇場を使っていくだろうし、劇団の公演ではそういうお席も積極的に狙おうと思うのでした。それにしても、ピンスポットの中で踊るゲキ、更にカッコよかった~。

 そんな見え方もさることながら、千秋楽の公演は本当に本当に熱いものでした。前回書いた構築された全員が協力し合うプレーの見事さから、一歩離れて各人がそれぞれに思いのたけをぶつけるような場面もあって。中でも最後のカグラとシュンが役を通して気持ちをぶつけあう場面での、どこまでも大きく飛んでいきそうなセリフとセリフの響き合いの熱量。あの極限までの出力でぶつかり合うカグラとシュンを本当にすべてのお客さんに見てもらいたいなあって心から思いましたね。構築されてるだけでは出てこないあの迫力。それはもう後がない千穐楽での、記録に残ることのない劇場でこそだからの宝かもだけれど、もっともっと多くの人に見てもらいたいし、そこを経て劇場に、こういうオリジナルの素晴らしい演劇を見てもらえるようになって欲しいって心から感じました。

 日頃はどんな時にでもどんなに怒声を吐いてもどんなに颯爽とした動きを続け本当の妖精のようにゆとりが見える拡樹さんのエアリアルも、いつも自分の役目にまっすぐでいっぱい笑わせてくれる本田さんのヒナタも「ああ、熱が入ってるぅうう」と拳を握りたくなるようなお芝居をいくつも見せてもらえました。そして、主演のギンの井俣さんの許しを請う時の顔や頭や首筋が真っ赤になるのが2階の最後列でもはっきり見えるほどで。1つの芝居に「その時にしかできないすべて」を捧げているように思えた東京千秋楽に見えました。。本当に本当に体中が痺れたなあ・・・。

 萩ちゃん演じるゲキは本当にこのところどんどん変わってきていて。儚くて美しく端正だったゲキが、公演を重ねるにつれ、力強くて自分の悩みや悔恨や喜びの感情をくっきりと表してくれるようになってきたように感じています。日々のお芝居の中で、どんどん魂の聲が膨らんでいくようで、日々ワクワクしていました。ランにも自分から目を合わせていくようなお芝居も増えてきて嬉しかったな~。ゲキは東京公演では、劇団メンバーのハブを自覚してるし、その演技の持ち味のように「端正」や「優しさ」を感じさせるキャラクターだったのが、要所要所で怒りややるせなさや悔恨を表にする人に代わっていったなと。どうもゲキが乗り移ったランの動きとゲキの動きにだんだんと距離が生まれているような気もしてて。それは、萩ちゃんの演技が当初よりブレたのかもしれないし、萩ちゃんの演技力がようやくそこまで伸びてきたっていうことなのかもしれないけれど、もしかすると違う構想もあったのかなとも勝手に思ったりしています。

 もしかすると、ランはその天才性やゲキをこよなく愛していたギンから指導をうけていたことにより「(ギンにより構築された)ゲキのプロトタイプ」を完璧に演技できるようになっていたけれど、そしてそれを「ゲキにのりうつられた」と思っていたけれど、実はそうではなくってゲキを、そう意識することなく演じていただけかもしれないなあと・・。そうすると、(劇中劇)2幕目の頭からの二人羽織シーンでの、二人の融合は二人の演技が共鳴し合って新たに作られたのかもしれないたと、面倒なことを思っていみたりするのでした・・。だってなー、あんなに「人を幸せにしたい」と願っているランだもの、お客さんが詰まんなくなるようなことしたくないだろうし・・。

 でも、カグラの「すべてはうまくいく」ではないけれど、何が悪いとはいいきれないものはあるかなあと思うんですよね。ギンが追放されなければランやヒメとの出会いもなかったし、ギンが復讐をしなければ、ゲキの魂の活性化も劇団の人々の本当の危機もわからなかったし、そのゴタゴタがなければランの真の望みのありかもわからなかっただろうし、そういう「おかげ」の連鎖に自分は痺れるのだなと。そして、今の世の中と密接にリンクする「過去の罪にまっすぐに向き合い、しっかりと謝罪し、行いを改めることを、関係者はもちろん、内部のみならず外部に向かって表明し、その変化が達成されるように心を尽くこと」を実行することができれば、ずっとし続けることができれば「過去の罪」は罪として贖われることにより、罪びとはこの世に復活できる・・、と描写するこのドラマは、個人的には本当に意味のある、そして個人的に篤く支持したいと思うところなのでした。きちんと断罪すること、そして過去を訂正し、その断罪された人々を切り捨てる(キャンセルするのではなく)と共に未来に進んでいけるような社会になること、そのメッセージを私は支持したいと思うのでした。そういうのは多分に「政治的」と感じる人もいるのかもしれないですが、私個人はこのテンペストはそういう「政治的なところ」に普遍的に立脚してるのが美点だなあって感じています。アニメ映画ですが「太陽の王子ホルス」のような(すっごい雑駁ですがそう思っています)。

 そして、東京千秋楽では、主演の鈴木拡樹さんとのツーショをあげてくださった萩ちゃん!

 拡樹さんとの共演の願いも叶って自分まで嬉しいです。ランと一緒に作り上げたゲキがこのお写真にもしっかりと表れているような気がします。本当に夢のような時間で、夢のようなツーショット。萩ちゃんが頑張ってるから自分も頑張らねば、夢に少しでも寄っていかねば、しつこく・・と思うんですよねえ。それにしても、今回でセリフ回しがぶっとくなってドライブするように感じられたのが嬉しすぎて。そして、声のトーンや表情の豊かさやスピード感は本当にここまでの萩ちゃんの研鑽の賜物だと、毎日テクノロイドで進化し続ける萩ちゃん演じるライトくんの声を聴いている自分は思います・・。もっともっと萩ちゃんのお芝居も演劇も声優仕事も見たいなあ~!本当に萩ちゃんも7ORDERも他の人にはなかなか真似ができない道を歩んでいるなあって思うし、そういう姿を応援してくださる人もいるのが本当にありがたいなあと。

 まあ、そんな風にしゃちほこばってしまうのですが、突然、劇団員のありそさんのお写真にこんな風に収まる「こっち見んな萩谷」を見せてくれると、本当に萩ちゃんが、この劇団でお芝居してくれたんだなってしみじみしちゃいます・・。

 もう25日からは大阪公演、どうか全力を尽くして、舞台の上で輝いてくださいね!大阪もばっちり行く予定です!