ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

社中テンペスト2回目(1/8マチネ)

 予定通りなら自分の次の観劇は1月12日だったのですが、辛抱溜まらんようになり、1月8日、2024年のお正月も終わろうとする日に、当日券争奪戦に挑みました。

 って、土日の公演もそうだったのですが、このも抽選なくって。ホントに12時15分までに並んだ人で、ランダム順に呼ばれて、指定されてるチケットをもらう形式で無事ゲットできました。集合締め切り時間の12時15分ぴったりでよかったみたいです。さすが、現代の劇団。手堅いオペレーションです。この日は30人ほど当日券に並んだのですが、2階の5列目のセンターくらいまで埋まった感じなので、まだまだ余裕ありあそうでしたよ。私がいただいたのは2階2列目のセンター。高い位置から、舞台がよく見えて、双眼鏡は使いましたが最高でした~。

 この日は4公演目。登場人物お一人お一人の個性と強調点のメリハリが更に効いてきてて、すべての登場人物に愛おしいさがいやましたわ。。。前にも書いたけれど、劇団の中ではユッコさんが好きなのと同じように、劇団を背負って責任感とプレッシャーにがんじがらめになってるカグラに更にやられました。初日以上にカグラのこころの中の崩れぶりが愛おしくなるほどでした。そんなカグラの見ようによってはエリート意識にプライドを傷つけられ、でも、やっぱりお芝居で並び立ちたかったり、そのもやもやを払しょくするべく、演劇の喜びをカグラと自分達の手に取り戻すために対峙するシュンとのヨレヨレの殺陣が凄くすごく好きでした(ヨレヨレでも全力を尽くして自分を全うするという演技が月の聲のさひがしさんからめちゃ大好きなのです)。

 ランを演じる拡樹さんのイナタい感じ(なぜそういう人物なんだろうと凄く気になる)がめちゃ増してて痺れたしお声の調子も絶好調だったし、本田礼生さんのファーディナンドは更に演技の密度が増してて(本当に手数が多い!)それがキュートにコミカルさに繋がってるし、山﨑さんのお声が好きすぎるし、絶妙の立ち位置が痺れるし、安定のなぎださんは、そのミュージカルタイムをそのまま勝吾さんが更に朗々と引き継いでて最高の最高でした。今日の日替わりの森さんの決め台詞は「Don’t think, feel!考えるな感じろ、の日本語訳つきでした。元少年社中劇団員という森さん凄くセリフが柔らかで素敵でしたし、この劇団の中で色々な経験をされたんだろうなっていう懐の深さが印象的でしたよ~

 キャリアを十分に積んで超絶上手い俳優さんたちが熱量高くぶつかり合い、技量を尽くし、最後には全員で演劇への愛、観客への愛を誓う(なんとなくですが周年お正月公演にふさわしい)ハッピーエンドの舞台で、だからこそ多くの観客は諸手を上げて「演劇万歳」の雄たけびを上げていると思うのです(初日に続き、この日もスタオベ)。たぶん、この界隈最高の舞台になっている。そして、まだ俳優としてまだまだなところもある萩ちゃんが同じ舞台の上でその様子を「見ていること」ができていることのとんでもなさ(見てるシーンが多いのが少し悔しくはあるけれど、こんな素晴らしい勉強の方法なんてないじゃないですか!)。そして、その最高峰な演技を文字通り肌を合わせて感じ取るシーンも演じられる凄さ。でも、一方で、この舞台の背後にある「劇団」という人間の営みの魔窟面を描いているところも、そして、その「魔窟」を別の形で経験したであろう萩ちゃんが幽霊でありながらも、まだ関わらざるを得ない思いをあふれ出させていることに(劇中の劇団員のみんながギンを迎えれようとする場面、やっぱりギンを入れて7人だったんですよー。それを見ている萩谷慧悟・・)、本当に感動してしまっているのですよね・・。

 この日の、最後に、ギンの復帰に対して観客に許しを請う場面。客席に降りてるゲキのお顔が2階席からギリギリ見えたんですが、ずっと心配そうに様子を見つめているゲキが客席からの拍手に「ありがとうございます!ありがとうございます!」と全力で必死でお礼を言うんですよ。ずっと冷静で儚そうな幽霊であるゲキがようやく人間に戻った気がしました。それこそが劇場を見つめ続けていたゲキが求めていたもの。その場面にゲキの心情を籠めた萩ちゃんの解釈とリアルな演技、本当によかったなあって思います。人間が生きて背負って、そして輝く「劇団」の裏表の一翼をしっかりと担っていたなあとやはり今回も思いました。

 そして、自分も2回目の観劇でだんだんと物語のストーリーも見えてきて。初見の時にはなぜゲキが劇団辞めようとしたのかわからなかったんですよね。あくまでも「謎」であったのかと思っていたんですが、2回目には、ゲキは自分が劇団のすべてのノード(結び目)だったことを悟ったからなんですね。すべての人間関係、そして、生まれてしまった「悪」のようなもの。それが悪い方向に膠着しだしたのを感じたゲキは、一度、人間たちの関係性を解きほぐすことを考えざるを得なかった・・のだと感じました。キーマンだからこそ身を引くことに意義が生まれる。そうでなければただの弱いところであったり目につく結ぼれを切り捨てることでしかない。そんな状況が見えてしまったゲキであり、集団を背負って生きてきた人々の思いを感じました。うん、やっぱり推しなのでどうしてもゲキ中心で考えちゃうところがありますけれどw。

 さて、この日の萩ちゃん。この日は声優のお声と舞台のお声とが使い分けてる感じがして(ある程度は音声調整もあるだろうけれど)、何気に凄くないかと思ったりした観劇2日目でしたよ。ランに憑りつく時の一瞬の人外のすごみであったり、最後に向けてののハリのあるお声が本当によかった。声優の声と舞台のお声って何かうまくまだ言えないけれど、マイク乗りの良さというかマイクを通じての陰影みたいなもの・・それを活かしてもらえてる気がしたなあ・・。でも、舞台のお声もかなり良くなってきた気がしますよ~。あとどうしてもビジュアルの話になっちゃうんだけれど、萩ちゃんのアイシャドウがその奥深い瞼と相まって本当に綺麗なのでぜひ注目していただきたい!。銀色基調なんだけれど、うっすらと虹色の光も放つようになっててなんて美しい・・。ほんとありがたい限りです。これは双眼鏡で覗いたからかかもしれないので、また堂々と双眼鏡覗ける場所がチケットくるといいな~。