ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

舞台「ETERNAL GHOST FISH」観劇3回目

 2023年10月16日のマチネに行ってきました~。この日はマチソワの2公演でしたが、どちらもDVDのための収録が行われるとのことでした。また、私が入ったマチネではアフタートークがあって、西田さん、萩野さん、良子さん、山口さん、玉城さん、勝吾さんが登場されました。そして、そのトークショーの中で、西田さんを除く人は自分の役名(実名?)を話されたのですが、やっぱり山口さんは(もともとは長谷川だったんですが)児玉誉士夫であることを話されていましたね。で、西田さんだけなかったんですが、以前の稽古場配信で自分の役名らしきものを話すところがあったのを思い出しました(ってフォローしている方の情報ですが)。

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 そこでみなさんから自分の演じる役についてのお話があり、勝吾さん→ヘンリー、柴田さん→エリザベス、良子さん→よしこ、萩さん→いたじろう、萩ちゃん→おもい、西田さん→せんぱく、成さん→執事、瀬戸くん→あまちゃん、玉さん→かんじ、傳谷さん→シャンラン、ノリさん→カイ、大地さん→はせがわ とおっしゃってたのをようやく確認。せんぱくって船舶で、やっぱり西田さんは笹川良一だったようです。ちなみに、川島芳子wikiをみると、二人が交際していた時期もあったと明記されていました(いや、個人的にですが今回wikiがめちゃ役に立っています!でも、戦中から戦後のあたりの児玉、笹川のこととか、関東軍との関係とか知らない、そしてキナ臭くあるような、はたまた実のところは世間一般とのイメージとは違うかもしれないことが本当に多いですね)。

 残るわからないのが、萩ちゃんの「おもい」ですね。もともと、婉容の溥儀密通の相手とされる近習の兵士で、発覚後、すぐに殺されてしまったという無名の人物なのですよね。名無しの権兵衛さんなのにわざわざと「おもい」と言う。何か謂れがあるのかもしれせんが、ここまで3回舞台を見てきて、個人的に「思い」ではないかと感じています。婉容を救うべく溥儀暗殺の実行部隊として動くのですが、一方で(清)国を愛し、皇帝にひたすらに尽くす兵士でもあるのですね。

 2幕で関東軍の面々に屈服させられるように傀儡の満州国の王となることを突き付けられる場面での、萩ちゃん演じる兵士のすべての体液がまなこと口からあふれ出てしまうような声にならない口惜しさと哀しさ。招待客たちに気さくにふるまいながらも、皇帝や王妃に対するときの儀礼にかなった身のこなし(しっかり角度を作って方向転換してるのですがよ)。アヘン中毒もあり、溥儀に愛されないことで不安に陥る婉容をまるで震える小鳥を安心させいつくしむように同じ目線で両肩を支える暖かなふるまい(萩ちゃん、こういうの本当に得意だよね。飼ってるペットさんたち本当に幸せ者だよね)。全部に、ひそやかだけれどあふれる「思い」があふれていると感じました。あとは何回かの「振り返り」の後、生きていくことを許された後の「思い」。これについては、たくさんたくさん語りたいのでまた今度にしますね。それにしても、あと、最後のエリザベスの唄があさひを唄う唄なのも嬉しかったなあ。

 そのような「無名の人」が抱える「思い」を実はたくさん描いている舞台だなあとひいき目かもしれませんが思うんですよね~。例えば、皇帝の衣装(なんて言ってたっけ?)の前で、長谷川さん(仮)さんに色んな紋章の意味みたいなのを仲よさそうに教えてる小芝居がとても嬉しそうなんですよね。ちょうど、おもいが指を三角を開いて、星辰の紋章にあてるようにして説明していたので、そういう清の文化や皇帝の徳というものに誇りを持っているんだろうなって(執事さんはなおさらのこだよね)。こんな風に、背景的な役どころであるけれど、毎回、丁寧に、暗殺者&無名兵士の細かな動きや言葉のない感情を正確に狂いなく演じている萩ちゃん。何度も繰り返されるお芝居のベースとなる部分。そこをしっかり支えてる感じがあってぐっときてるですよね。すっごいすっごいいい意味で例えるんだけれど、今回の我が推しはまるでお船のアンサンブルさん達を目指して格闘するような感じもあったなあと。ちゃんとおぜん立てして回ってる・・そんな感じもあったなあと思ったら我が子可愛さの褒めすぎなのかもしれないけれど・・。歩くときの動線とか角度とか・・。あー、想像するだけでたまらないです(笑。

 そして、「振り返り」のギミックについては、まだまだわからないことも多いですが、お芝居に入り込むのには気にならない感じになってきました。それにしても 舞台永魚 15分休憩はいっての3時間なのに本当にあっという間に終わるんだよな~。3回見ても、まだ「短い!」感があるので、本当に内容が詰まってるんだと思うんですよねえ・・。そんな感じでそれぞれの登場人物に触れていきたいのですが、良子さん演じる川島芳子像がとても好き。うまく現代的な視点を取り入れて、複雑な属性を生きてきたそしてその代償を背負わざるを得なかったけれど、それも合わせて「わたし」として受け入れる、ポジネガのいい塩梅をとってるとこが魅力的であったなあと。

 勝吾さん演じる溥儀の核はよくわかるし納得するしそりゃもう語りつくせぬ様々な思いがそれこそ中国2000年の歴史の最後の一点となってあるのが伝わってくるし、その荷の重さも痛切に感じるのだけれど、やっぱりwikiの溥儀と婉容のところを読むだけで、胸が張り裂ける。そんな複雑な感情です。自分はどこかこの人が苦しんでも当然みたいな気持ちも少しだけあります。でも、そんな複雑な感情を観客に与え、自ら引き受けるような性格や硬さみたいなものが凄く伝わってくるお芝居だったなあと。とても好きなのに好きといえない距離感を演じておられたなあって感じました。

 この物語の最終場面、振り返ってのやり直しにつぐやり直しの末、婉容(本当にあの歌が素晴らしい)や他の人物たちが何かしらの心の安息(or納得)をもたらし、彼らの役目を終えていくのに対して(芳子が自決しなかったのは祖国の人々の手に自分をゆだねようと思ったのかなとか)、溥儀がどうだったのかまだよく見えていないところがあるんですよね。その後、戦後まで生きて生涯をまっとうしたであろう彼の思いもちゃんと見つめたいなと思うのでした。

 さて、また萩ちゃんのことに話は戻りますが、萩ちゃんにも「日替わり」ネタがありました(笑。ラストの場面、西田さんに次回作での兵士(萩ちゃん)の日替わり役どころは、15日マチネでは「恐竜に一番先に食われる役」で、16日マチネでは「ゾンビに2番目に噛みつかれる役だった。その後、山口さんと一緒にキョンシーぴょんぴょんしてる萩ちゃん。これからもありますように🙏西田さんよろしくお願いです~。あ、西田さんと言えば、良子さんのエピ凄かった~。田さんが稽古に役者として立ったのははゲネの時が初めてで、完璧だったから凄かったとちょっと怒りながらの良子さんであったんですよね~。やっぱりお芝居の天才なのかもしれない。萩ちゃん、西田さんに出会えて、本当によかったね!