ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

劇団おぼんろ「月の鏡にうつる聲」6回目、7回目

 8月13日の千穐楽も終わって、その後すぐにお盆恒例の親戚ごとに突入し(こちらも楽しかった)、さすがにちょっと体力を消耗したのかw、ちょっとぼんやりしてるアフターおぼんろな世界線。ようやく配信アーカイブを見始めて、自分が見ている世界とまた全然と言っていいくらいの世界観の出現にびっくりしています。いや、おぼんろさんの世界、主宰の末原さんが作り出す世界、本当に深いなあ、広いなあということで、8月11日夜公演と12日の夜公演の感想を簡単にですが書き留めておきたいと思います。

 さて、11日の夜のお話。この回が配信(と円盤用の収録)でしたね。今日は1階G列のセンター。ようやく全体が見えるお席でした。全体が見えるとまた暖かくて悲しい(そしてその逆も)お話が胸に染み入りました。ただでさえ、感情そのものやその感情が作り出す影や愛のあふれ出す感じがたまらないおぼんろさんの舞台ですが、収録版のせいなのかどうなのか、語り部さん達も更にくっきりとエッジが立ってて胸に刻まれました。この物語で、あの4人の中年戦士たちをまっすぐ褒めるのは、ストーリー的にいいのか・・という気持ちに今でもなるのですが、やっぱり自分の人生やすべての因縁に引導を渡すようなさひがしさんの桃太郎が格好良すぎてため息がでてしまうのですね。こういう大人になりたい(大人じゃなくって老人ですがw)なあという気持ちが抑えられない~。

 萩ちゃん演じるアナタの像も定まってきて、特にビクロわかばやしさんとの母子のやり取りの気持ちのやり取りの濃厚さからの自分のやるべきことをようやく見据えたアナタ。そこからの終盤のお芝居と言うか、大太鼓の演奏と演技が一体となった燃え尽くすような、事実と祈りを遠い未来に届けようとするその強い気持ち。大太鼓の響きの迷いのなさ。特に、魂になった人々との村祭りのイメージシーンで歌われるデンデコデンの前、ボウボウと燃え尽きるくらいの勢い凄かったです。寡聞なので大げさなこと言いますが、萩谷慧悟だから、様々に音楽と演劇の経験を積んできているからこそできるシーンだなあって思うのでした。このシーンをこういう形で作ってくださってる末原さんもまた音楽の力を信じてる人なんだろうなあとも。

 そして終わった後には、なぜか涙が・・。このお芝居に詰め込まれたものの多さとリアルさは簡単に、そこに目にしたものそのままのものを「素晴らしい」とか「エモかった」とか言わせない厳しさもあると思うのですが、どうしようもなく優しさが溢れてるからか、やっぱり目から何かが溢れてくるのですよね。

 あと、今日は遠目だったから、殺陣の時の動線や身のこなしもよく見えて。若者チームの動きや形の取り方が素敵だったな~。何気にみんな動ける人だったな~。あの上下動のあるセットの中をしゅるしゅると動けてるの本当に見ていて爽快。そして、みなさん、横顔が本当に綺麗。そして、日に日に荒ぶるガッキーズ萩ちゃん。この夜は黄色ボールだったんですが、そのボールに緑の大き目の水玉がついてて可愛かったです(でもあらぶってたw)。龍之介さんが同じボールに赤い水玉でなぜかお揃いでした~。そして、倫平さんは「今日の夕ご飯はカレーでね~」でした。

 そして、12日お昼公演は観劇7日目。うちの家族を誘っての観劇でした。自分は今まではソロで活動することが多かったんですが、今回は7ORDERのお友達以外でお二人お誘いできたのがよかったですよ。おぼんろさんは本当に老若男女どなたにでも見ていただきたい。演劇の持つ、人間の身体や声が「演じる」ことにより引き出される魅力にあふれていて、同じお芝居を見ているのになぜこんなに心と体に刺さるのだろうと、揺すぶられるんですよね。本当に、末原さん、さひがしさん、わかばやしさん、高橋さんの4人の演劇力が凄すぎる。もちろん、脚本、お話自体もとても面白くって、舞台美術もグッズも素敵(本当に使えるものばかりだし、何より美しく可愛い)。ぜひぜひ沢山の方々に見てた抱きたいなあと。

 この日もG列で、通路を激走する萩ちゃんの風を受けることができましたね。そして、いつのまにか現れているさひがしさんの背中。私は見ることができなかったけれど、2階席からの光景。すべてのフロアから見える景色をきちんとデザインしてるのじゃないかと思うくらいに、見える光景が違う。本当に凄いなと思います。

 色んな要素が詰め込まれいるからか、悲しみが増してドーンとなる時と、よかったねえ(号泣)になる時とあって。変わらないのは、目を背けず相手の思いに向き合うこと、そして語り継ぐことの大切さ。それが伝説に姿を変えても、祭り太鼓の響きに残るだけになっても。ビクロのセリフがなぜか耳に残る。末原さんが岡山県からこのお話を依頼されて、沢山の人が登場する戯曲として書かれたというこの作品。物語自体は、そこにいた人々の心と心の交流や深い愛を描き、愛が故の罪やその愛と罪を巧みに利用しようとする大きな力にいつも人々が翻弄される世の習いを描く。どれだけ多くの愛が何も残さなかったの様に消えていったのか。しかし、そのうちごく少数かもしれないけれど「伝説」として、「民謡」として、「祭り太鼓」として残っていったのかもしれない。語られ続けて、歌い継がれて、踊り継がれて、思いは変わっても、綴られて。温羅も桃太郎も今の世に伝えられている。物語を生んだ人々も凄いけれど、それを今の世の中まで繋いでいってくれた人々の力を、その創作の本当の意味とか力とか、そんなものを伝えてくれてるように感じたのでした。

 そして、この「月の鏡にうつる聲」を見るたびに、自分はいいおばばなので、色んな事を信じることの大切さと共に、やっぱり間違っていたことをできる限り何とかすることを自分が死ぬまでに何か一つしなければなあって感じたんですよね。やっぱり、何かを。怠け者だからすぐに何かはしないだろうけれど、そういう思いを自然と持たせてくれる作品でしたねえ。

 さて、いよいよ翌日は千穐楽。萩ちゃんをはじめ、色んな役者さんからこの公演の思い出をまとめるようなツイートを発信してくれています~。なんだか本当に物悲しいな・・。

 そして、この日のお昼のガッキーズリーダー倫平さんの一言が「萩チャーハン食べた~い」でびっくりし、客席もざわっとしたのですがw、さひがしさんからも~。萩ちゃんお昼の差し入れをしたそうです~。

 本当に本当に名残惜しい。そして、萩ちゃんがこの場所にいて、本当によかった。