ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

劇団おぼんろ「月の鏡にうつる聲」「月の宴」、3回目

 さて~、どんどん過ぎていく「月の鏡にうつる聲」の公演日程。6日夜のトークショー「月の宴」と7日夜の公演の感想を簡単に書いておきます。

 6日夜のトークショーは2階席。足がつかない座席はちょっと大変でしたが、末原さんが描かれたというステージ前面に描かれた花々を見下ろしながら。それにしてもとんでもないスケール感だなあ。美しさもだけれど、末原さんの頭の中を見せてもらう感じにやられたな~。そして、語り部さん9人で椅子に座って、ゆるーくトーク。こちらも特製の桃サワーをいただきながら、本当にアットホームな感じでお話は続いていったのだった。アットホームと言えば、劇場のエンタランスに末原さんをはじめ劇団員の方々や井俣さんもファンの人たちと楽しそうに談笑されてて、すっごい世界観だったな~。こんな風にのびのびと楽しい空間を本当にありがとうございます。

 トーク、最初っから最後まで楽しかったですよ~。7ORDERではあまり率先してあれこれトークする方じゃないけど、この日の萩ちゃんボケ倒してくれたり、笑わせたり、あれこれやってくれて本当に嬉しかったな~。突っ走りすぎてる?くらいやってくれて頑張ってたな~。バラエティ力発揮してくれて嬉しかったな。萩ちゃんファンの子が間違えた末原さんのお名前のくだりも、「上が長くて、下が短いんだよ」とジェスチャーを交えて、あんな風に客席とやりとりできるのね・・ってちょっと感動だった(笑。

 印象に残ったお話としては、自分の年もあるのかw、月の鏡にうつる聲の制作のきっかけ(岡山県から依頼された?)とか岡山での初演のお話をされる劇団員の方の雰囲気が素敵だったな。岡山での初演は地元の方々もたくさん出演されていて、今回も一人複数役で多くの人物がいることに繋がってるのだと。当時の様子を語り合う劇団員の人たちの話している雰囲気というか、当時の風景が見えるような感じに、しみじみしちゃいました。あとさひがしさんがわかばやしさんのことを「18の頃を(頃から?)知ってるんです」とおっしゃててやられましたねw。青春や多くの時間を共有してきて今の表現があるんだなと。

 それぞれの演技のお話の中で、井俣さんの登場シーンの迫力や煮詰まってる感じを最初から作ってきてこで流れが決まった感じがあると聞いて勝手に「わかるーー」って拳を握って。集中力なくなると徘徊しだすエピも嬉しかったり。一方で、塩崎さんがラス殺陣10分作るのに6時間じーっと一人で集中してるお話もよかった。そういう「止まってない感じ」は劇団員の方にも(宴の会が始まる前のホールの楽しい雰囲気よ・・)共有されていると思うんですが、客演の人たちにも共有されててそれぞれに色々と考えて提案してる感じありましたね。松村さんや真修さんの小道具への思いとか、萩ちゃんの色んなこだわりとかも。

 今回萩ちゃんが見せてくれたこだわりは、村人の数(ナンバー。多い想定でこだわりたい)と、機構を動かすのにバリミが必要で(なくてもと言われてきた)暗いところでも見える大きめの光るやつをオーダーしたりとか、特注の弓の弦を演じる上では切った方がいいかもだけれど、絶対切っちゃいけないとか。萩ちゃんが身に着けてきたことを自由に言わせていただける場所になっててありがたいなあと。あと長いラストシーン(のセリフや大太鼓)をしっかり作ってきてくれて(覚えてきてくれてという意味かな?)嬉しかったと末原さんに褒めていただけたのに、「だって、〇〇日前ですもん」とゴネてるのが最高に萩ちゃんだったなw

 やっぱり気になる萩ちゃんお声。この日の宴はみなさんマイクを付けてらっしゃったんだけれど、マイクのおかげか最初こわごわな感じだったけど、だんだんしっかりとしたお声もしっかりしててちょっとだけ安心したのはまだ早いかな。個人的には使いすぎっていうよりも、まだまだ舞台での発声の仕方自体のところでの問題があるんだろうなって思ったりします(上からでゴメン)。そんなかんなで場を盛り上げていた萩ちゃん。主宰の配信で、萩ちゃんのことを「キャリアの長い人なので・・」とおっしゃってて、100%褒めニュアンスでなかったと感じたし、どういうニュアンスなのかなあって色々と考えていたんだけれど、宴での立ち居振る舞いであったり、お話してくれたこだわりエピソードあたりのことなのかもしれないなと。前事務所の時のことも、趣味のことも、色んな経験はしてるもんね~。どうかそれが舞台演劇というとこに繋がっていってくれたらいいなあって感じましたね。

 そして、8月8日の夜公演~。この日は夜のみの公演でした。萩ちゃんからも「できないことも多いけれど日々実戦でベストを尽くしています」と気合のインスタ。

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 その気合のせいか、個人的にはこの日、めちゃくちゃ良くってフォロワーさんと話し込んじゃった!萩ちゃんのお声もだいぶ良くなっていたし、感情や相手役と共鳴し合うような、お互いの気持ちが見える感じになっててとてもよかったです。とってもカッコよいアラタだった気がする。そういう役作りだったからもしれない。というのも、この日は、語り部みなさんのギアがまたグッと上がって、激しくぶつかり合い闘い合っているように感じたから。桃太郎が言葉だけのアナタの心を揺さぶるシーンよかったなあ。なけなしの自分をぶつけるアナタ。ザキリの怒りと引けなさの刹那さが怖くて。寄り添うユミルの優しさの深さが沁みました。ベテランズのお芝居の安定感の上に、変わっていく若手のお芝居。

 この日は3回目の観劇。だんだんお話の隅々まで気になるようになってきた。今回のお話の巧みなところというか素敵だなあと思うのは、3つの時空(少年桃太郎と温羅、若い桃太郎と三銃士、そして現在)を貫いて重ねて深く意味を持たせてるのにとてもリアリスティックなところがあるところ。すべての人物が愛に満ちていて、そして罪に満ちている。でも、それが現実を生きるものとしての責務。それでも息で伝わるような優しさや思い合いにも満ち溢れてて、それは自分たちの日々もそうなんだろうと思ったりする壮年おばだったりしたな。宮仕えで頑張ってきた雉衛門の「ただの一度も侵略を止められなかった」というセリフがわが事のように沁みる。

 最初はそういう現実を生きてきたベテランズの「それが人生」にあふれたお芝居に心つかまれていただけれど、アナタ、ザギリ、ユミルの悲劇(であり自業自得でもあり)の色合いが強くなるにしたがって、大きな不安にも見舞われるようになり。おばは日々を思って、過去をうまくまとめてどこかで自分で句点を打てばよい。我が人生に悔いなしと言えばよい。でも、この若者たちは句点どころか読点を一つ二つ打ったところだよ。でも、彼らにはやり直しも総括も美しい振り返りもできない(アナタは生き残ってるかもしれないけれど)。この日、たまたま、最後のザギリの命尽きる様子を猿彦が見つめてしまうシーンを目撃してやられてしまっている。それにしてもラストシーンというか最後の一音を何を思って、何の音色なのか、アナタはどう思ってるんだろう。世界への決別の一音なのか、それとも彼の母が願った語り継ぐ使命を宿した一音なのか。やっぱり自分の物語と重ねてみちゃうよなあ。

 この日は大太鼓も殊の外よかった。その太鼓のパワーに含まれる色んな方向のエネルギーがむき出しにされているようだったな。いのちや思いを込めながらも、リズムを一定に保ち、他の役者さんの口上を聞きながら、出のタイミングを見計らないながら(役者さんを見る目がいいのよ・・)、太鼓の音の大きさや音色を変えながら、その前の永台詞から10分近くも演奏を続けて、そして最後のセリフに入る、その素晴らしさったら・・。あの萩ちゃん、ほんと凄いで本当にとんでもないもの見せてもらってるなと。グループではああいうテイストは見られないだろうし、ほんとありがたいな。