ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

個とグループとアイドルと

 森田美勇人くん、7ORDERから独立して、早速色々と活動してますね。グループ在籍時からやっていたJUNRedさんとのコラボ企画も続いているし、今回は新たな障がい者支援にかかわる活動の展開を見せてくれています。

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 この動画、なんだかめちゃめちゃ面白かったです。たぶん、独立して「最初」という位置づけになるのだと思いますが、美勇人くんのやりたいことってこんな風なんだと、なんだか目からウロコっていうか、いい感じの風通しのよさを感じる動画だと感じました。自分が関わってきたこと、洋服のこと、それを製造して売るという過程ででてくる色々な問題。そして一方で障がいのある人が自立するために必要な「仕事」をどう作り出していくかということ。美勇人くんが身近に見てきたことで(おそらく)深く考えてきたことを、ひとつにつなげてみたら・・。めちゃ気軽で、本当に手作りの範囲だけれど、だからこそできるフットワークの軽さ。そういうスタンスだからこそできること。とてもとても気持ちのよい景色だなあって思いました。

 そして、この「気軽さ」であったり「フットワークの軽さ」を実現するためには、更に、色々と活動していくうえでグループへの負担にならないためには、やっぱりグループから独立してやる、という位置を獲得するしかなかったんだろうなあって、実感もしたんですよね。この動画で美勇人くんが話してること、具体的な名称であったり、地域だったり、障がいのある人に関する記述であったり・・本当にこれまで以上にストレートになっているんですよね。「どこに」、「何を」届けたいかが明確になってる気持ちよさ。でも、もし、それをグループに属してるならば、そのグループへ差しさわりがないような形で、一方でグループのためにその活動を利用するみたいなことにならないような状態を慎重に作っていかなければならなくなる。言葉ひとつをとっても、やることひとつにとっても、色んなコードに縛られてしまう。縛られるという言葉が悪いなら「尊重する」。グループが大きくなればなるほど、関わる人々が多くなればなるほど、そのコードの数は増えていく。一方が一方を互いにスポイルしあう、そんな景色が容易に見えてしまう昨今(そんな中での炎上装置としてのツイッターに色々と異変が起きてるのは、ある意味よいのことなのかもしれません)、多少の失敗をしてもグループに迷惑をかけないためには、やっぱり脱退して、やるしかない・・という風になったのかなとすごく直感的に思いましたよ。

 (ここからは妄想ですが)多分、メンバーも含めて、それだったらなんとか両立できるように取り計らうよ・・と言ってくれたのかもしれない。でも、美勇人くんがやろうとしていことはた前代未聞で、どんな風に転がっていくのか、成功するかどうかわからない。そして福祉とか芸能とかアーティストとかビジネスとかもっとたくさん、それぞれのコード(規律)がいっぱいある中で、優先すべきことは・・とか聞かれることが多くなるだろうの中で、やっぱり両立は難しい・・となったような気がするんですよ。特に今の世の中は、その人の人権にかかわるようなことであっても、人権保護とは逆行するような形で、炎上が生じる。今だって美勇人くんの選択やちょっとした行動に腹を立てて、それを発言しちゃう人も多い。ひとりひとりの言ってることはちょっとしたお小言みたいなスタンスでも、単に「私の気持ちを綴ってるだけ」と言っていても、読んだ人の心に波紋を投げてしまうような言葉が少なからず目に留まってしまう。それを思うとやっぱり、辞める・・という決断にならざるをえないのかなと思ってしまうんですよね。そこは、芸能界でのやりたいことが複数あるメンバーのグループとのかけもちとはずいぶん違うところかもしれない・・なあと。

 やっぱり一度多くの人の発言に心を痛めたことがある人は、やっぱり慎重になるよなあと。そこは推しの萩ちゃんのことを見てても思ったりしますよね。そこは芸能人やアイドルのとてもとても複雑な一筋縄ではいかない問題なんだろうと思うのですよ。アイドルファンはアイドルをやめようとする行動や本人に本当に残酷であったりするから・・。6月30日にCSのMTVチャンネルで放送された7ORDER INSIDEというトーク番組がとてもよくって(なんかもう脱退のこととかありえないような仲の良さを相変わらずみせてくれる7人がほんとに凄い)、更にメンバー7人の心のでき方が見えてくる感じでいい番組でした(まだ再放送があるので、ぜひ見ていただいたい)。

 そこで萩ちゃんが、「今、気になってる音楽」ということで、最近、大好きを表明してるアニメ「推しの子」(ちなみに萩ちゃんはコミックスも読んでいる)のOPのADOさんの「アイドル」だったんですよ。そして、なぜ好きかか気になってるかということで、OPアニメの映像を色々と語ってて、ここが凄いと構造的に詳しくお話してるなあって少しびっくりしたんですよね。割とあまりどう好きかと言わない方だなあって思っていたので、映像とテクノロイドのアフレコの時に、イム監督に指導された経験とか蓄積されているのかなあと嬉しくもなったのですね。

 で、そこで萩ちゃんが語ったのは「アイドル」という存在のこと。

www.youtube.com  PVの中で、着ぐるみの中にいるアイドルのアイがその被り物をとった時に、その本当の顔は描かれてないこと、実の子であるアクアとルビーに本当に言いたい「愛してる」という言葉を伝えたいアイに表情が見えないこと。それに思いを馳せる萩ちゃんは、もし萩ちゃんがそのアイに声を充てるとすれば、そこからどんな感情を声として紡ぐのだろうと思ったりしましたね。そして、現実の萩ちゃんはどんな風にこの現実に向かい合っていくのか。そんな風にこのアニメを見ている萩ちゃん(まあ推しの子好きだという発言からそう思っていたけれど)の精神力、矛盾を意識して立ち続ける姿が、改めて好きだなあって思うのでした。ちょっと横道にそれちゃいましたが。

 アイドルであるからできることって確かにたくさんあるんだと思います。冒頭の美勇人くんの動画も、9000回以上の視聴回数があって、美勇人くんが好きだからこそ、いっぱいこの動画を見ようとしてるファンの人もたくさんいるんだろうなって思うんですよ。グループをやめてしまえば自分が本来興味がなかった福祉関係のこととかなんて見る義務もない的なことを言う人もいる中で、美勇人くんが本当にやりたいことを少しでも理解したい、応援したいというファンもたくさんいるのだなあってちょっとだけ心が明るくなりました。だから、どうか、美勇人くんもファンの人も、複雑に考えすぎずに、のびのびとやりたいことを、心の赴く方向に歩いていってくださいねと改めて思うのですよね。そして、グループを応援する我々もそんな気持ちでいたいなあって思うのでした。