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Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

TVアニメ「テクノロイド・オーバーマインド」第5回

 テクマイ第5回は、KNoCCの家に住み着いていた地域猫(初めて知ったこの言い方)のノラちゃん(仮名)の老病死に向かい合うクロムくん達が悲しみという感情を、そして人間も含む生き物の「死」というものを学習し、それを受容していく回でした。一方で久々に登場したカイトさんはアンドロイドが嫌いすぎてか、瀕死のナギちゃんに人工臓器を使うことを拒否し、とはいえ生体ドナーの当てなく大きな怒りに満ちており、死への非受容が更に大きな怒りを生んでいる模様。それに付け込んであの怪しい班目がやってくる、さて!という展開が最後にやってきて、いや、やっぱり盛り上げ方、上手いわ!となった回でした。

  • 生き物(人間)の死を前に、認めなくないと悲しみつつもその死にゆくことに寄り添っていくこころと、受け入れられず怒りに満ちてしまうこころ。2095年になり、kokoroを持つ人工知能(アンドロイド)がこの世に現れようとするそんな時であっても、やはり人間は病や死を避けられていない。それは2023年に生きる、還暦をそろそろ迎える、そして少ないながらも親しい人の死を経験しつつある自分にとってはそこの「変わらなさ」の考え方に、KNoCCたちの立脚点があるのは何か安心した気持ちになりましたね。死の悲しさに寄り添っていくことしか手立てはない、逆にだから、私たちは、本当の意味で死を受け入れて、前に進んでいくこともできる、そんな哲学を見せてもらえたのは、個人的にはとても嬉しかったですね。このアニメは割とまっすぐに真面目に(ベタ)に「こころの発達」をやってるなあと思いますが、ひとまずこっちにきてくれたのはよかった。
  • 「死」という問題を解決したいと願い、書物を調べ続けるクロムくんが、ノラちゃんの死を目前として、実は湧き上がってきている「悲しみ」や「恐れ」に一旦蓋をする形で邁進していくという流れもとてもよかったな。その様子をきちんとアニメの絵や演出で伝えてくれていて、死という問題を回避することは不可能であるとわかってしまったクロムくんの、クライマックスでもある感情の噴出につなげていく語り口が大変上手だなあと感じましたね。また、父を亡くしているエソラくんがちゃんとわかってて、ずっと寄り添ってあげている。体験をしてるからこそ、わかる。そんな「こころの基本」が何か嬉しいのですよ。上にも書いたけれど、「こころの基本」の描き方に(心理学的?、科学的??)無理がないのも推せるところですね。
  • 知識やそれに基づく科学的な考察というのは、人間が問題解決のための知的な働きの基本でもあって、それが学問として、アーカイブとしてまとめられていく訳ですよね。逆に言えば解決できない、できていない問題は普通本の中には盛り込まれない訳です。そんな中で、KNoCCのkokoro導き手であるノーベルさんがクロムくんに見せた本は「動物行動学」といういかにもな本だったんですが、クロムくんが注目した章は「死にゆく動物と人間」みたいな章で、個人的には普通そういう概説書にはないんだと思うし、その結論が「寄り添うしかない」だったら、ほんと書かれることはないとアカデミック的には思うんですが、そういう章があったというのが少し不思議に感じましたね~。その理由として、今回の制作スタッフさんが猫好きだとツイッターで公表されているのですが、やっぱりそういうことを知りたかった・・という思いのあらわれなのかもしれないですし、どうしても解決できない問題に当たった時の考え方こそ、こころ(kokoro)を発達させるという考え方なのかなあと感じました。
  • さて、そんなアシストをしていたノーベルさんですが、このところ、KNoCCメンバーと色んな面で似ている人間が登場していて、ノーベルさんがKNoCCにその人物に引き合わせる、その人と同じようなシチュエーションに置こうとしてるのを見ていると、それらの人物はKNoCCのモデルとなっていて、基本的なパラメーターはその人物を想定して作られているけれれど、実際にその人物と同じような経験をさせることで、同じようなkokoroを持つようになるのかという実験(訓練)を行っているようにも思うんですよねー。ただ、そういう育て方って危ないといいうか、そうやって成長(発達)した個体は、モデルとなった人物と同じジンブツと「なる」のかどうなのか。同じような「もの」を持っていたとしても別人格になるのか、それとも同一人格とみなせるのか・・みたいな問題が発生しちゃうかもと・・。
  • 人間がサイボーグ的に同じ心を移植してアンドロイドにそのまま移行できるのなら問題ないけれど、そうでないなら、姿は似ているけれど中身は全然違う(人間カイトさんとアンドロイドカイトさんは断絶している)場合よりも、めちゃ問題は複雑ではないかと思ったり・・。やっぱりスタアロ編も進めていって欲しいなあと思うので、今回のシメはかなり楽しみと思いました~。テクユニの基本の4つの感情のうち、喜、哀、楽はここまでで学習しているので、残りは「怒」なのですよね。テクマイ第6回でやるのか、どうなのか。テクらぶのゲストからネオンくん回だと思うんだけれど・・
  • 何気に、アンドロイドたちが「行動リクエスト」なくして行動する場面がいくつも描かれるようになり(ボーラさんは上手く理屈ですり抜けているが)、自律的、自発的なkokoroがどんどん伸びてきているようです。さあ、そういうアンドロイドを人間は最終的にどう受け入れていくのか。次回は「承」の部最後の6回目、楽しみですね~。
  • さて、ちょっと付録ですけど、ゲームのテクユニの世界では2月2日はライトとナイトの双子の製造記念日なんですけど、これまで以上にカイトさんへの愛、そして双子相互の愛、3人一体の家族であるという思いが強く表現されているのですよ~。テクマイからテクユニの10年、人間カイトさんからアンドロイドカイトさんへの繋がりの中に積み重ねられているもの、まだまったく明かされていない双子の深層であり真相、そんなことに思いを馳せる春を待つ日々となりそうです。