ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

オリジナル作品への愛

 昨年、さなぴーこと真田佑馬くんが主演で出演した劇団鹿殺しさんの活動20周年記念の公演「キルミーアゲイン'21」のDVDがうちに届きました~。

 早速、見せていただきましたが、あまり明るくない画面の光量。一貫して少し引き気味で、アップのシーンも抑え気味なのもあって、始めた途端にあの紀伊國屋ホールに戻れちゃいましたね。鹿殺しさんのどんどん見させていく力というか、どうしようもなく引き付けられてしまう力がDVDになってもしっかりあって、あっという間に終わっちゃいましたね。役者さんの色とりどりの演技の力。どの役者さんも舞台にぶつける力と言うか、あの梅津くんも少し声が枯れてるくらいで、その力感がたまらないなあと体がうずうずしちゃいました。やっぱりこういう演劇大好き。自分の心が心が返っていく場所、そんな感じがしました。

 さなぴーのお芝居も本当によくって、藪中くんというある意味どうしようもなく人間らしい人物像を演じてる時のさなぴー(27のカズマもちょっと近い)が大好きなんですよ。藪中くんの心の中の枯れた具合であったり、迸るものであったり、藪中くんという心をもったさなぴーという身体から溢れてくるものにどうしようもなく引き付けられました。一方でのダンスシーンや歌唱シーンでの、丸尾さんの演出によく応えるアイドルな華やかさもあって(やっぱりダンスや歌での動いての体の決まり具合というか、外に飛び出してくる力があるなあと)、本当にありがたい舞台でした。藪中くんや、その仲間たちがどんな風に今暮らしているのか、つい考えちゃうくらい、あの世界が好きでしたね~。

 さて、そんな自由に提示された作品世界に没入できたと言えば、顕嵐ちゃんとモロちゃんが出演した映画「ツーアウトフルベース」でも同じでしたね~。2回目を見終わった途端感じたのが「あ~、イチとハチ、よかったね。これからも頑張れよ~」という心からの思いで。あのスクリーンの中にいたイチはあらんちゃんというよりもやっぱり「イチ」その人で。それは、あの作品世界にどっぷりと浸かれていたからだと思うんですね。その解放感みたいなものを感じたのがちょっと久々だったので、とても気持ちの良い観劇となりました。

 その理由を考えると色々とあるとは思うんですけれど、個人的にはこれらの作品が「オリジナル作品」っていうのはあるのかなあと感じています。何と比較することなく、新しく作られたその世界に入り込むことができる。もちろん、そこにも上手いとか下手だとか、よくないところとか、ここは詰まんないとかもあったりする訳ですけれど、常に何か準拠するものがあってそれとの比較から入ってしまいがちな作品群とは違う(昔は舞台といえばオリジナルものか翻訳モノが主流だった時も長かったとは思うのですが)、解放感を生んでいるのかなあという気がしました。自分たちで新しい世界を作っていく、その高揚感であったり、新たな扉を開ける感じが「オリジナル作品」の魅力としてあるなあと。

 もちろん、準拠するものが明確にある作品の面白さであったり、大変さ(先日アクステで主演の方が、出演している他のは俳優さんであったり演出の方がいかに繊細に作品を作り上げているのかを語っていらっしゃって、その厳しさをまた知った気がします)があり、だからこその素晴らしさがあるのだ・・ということは頭ではわかっているんですよね。そのような厳しい舞台だからこそ観客もシビアな批評を行うのかもしれないです。とはいえ、創作という原点に立ち返る、新たな真っ白いキャンパスに描かれる世界の自由さとエネルギー(そしてその作り上げるまでの重み)みたいなものがたまらなく好きなんだなあと改めて感じた7ORDERメンバーが出演した最近の二つの作品でした。オリジナル作品も2.5の作品もミュージカルもストレートプレイ(あとあまりないけれど再演ものや翻訳ものとかも)も、ほんと7ORDERの面々が色々な方向性の作品に出てくださることは、本当に贅沢で楽しい経験を積ませてもらってるなあと思います。だから、その瞬間を思う存分、楽しませてもらいたいなあと心から思います。