ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

DisGOONieS体験記(ネタバレあります)

 萩ちゃんやながつが参加させていただいたDisGOONie(ディスグーニー)。そこでのお芝居は本当に面白くて、また、この二人にとっても大きな大きな経験になったのはファンの自分にも心から感じられ、また、出演される俳優さんが魅力的な人ばっかりで、すっかりディスグーニー自体が好きになりつつあるなあって思う今日この頃です。

 そして、このコロナ禍において舞台公演の実施に大きな枷がかけられどこでも大変な状況になってしまった中、主宰の西田大輔さんプロデュースということで新たに始まったのが「DisGOONieS」。ショーを楽しみながら、美味しいお食事とお酒がいただけるというシアターレストランっていう感じでしょうか。過去作の上映会やら、衣装展示会やらアコースティックライブやら色々とやってらっしゃったのですが、今回、ここでの本格的な演劇公演があったので、ぜひ見てみたいと思い、ようやく行くことが叶いました。演目は「エイリアンハンドシンドローム」(9月2日~13日:全16回)。出演者は、公式HPに倣い五十音順で、北村諒さん、鈴木勝吾さん、田中良子さん、谷口賢志さん、西田大輔さん、萩野崇さん、宮下雄也さん、村田洋二郎さんの8人。まったく初めて見せていただく北村さん以外は、ディスグーニーの公演やら、モマやらプペルやらでなんどか見せ貰っている方ばかり(7ORDERのメンバーもほぼほぼどなたかと共演経験がある)で、本当に楽しみな公演でした。

 9月5日の昼公演に行かせてもらったのですが、そこで見たもの、経験したことは、なんて言っていいのかわからないくらい本当に感動的でした。それは脚本を演じるという意味でのお芝居自体もそうなのですが、ディスグーニーズというレストランシアターだからこそできたこと、今、コロナ禍という状況だからこそできて感じられたこと、このメンバーで小さな集団だったからできたこと、そして、脚本が表現したかったこと、全部が積みあがったまるごとの感動だったなあって思うのです。今だからこそできた経験。本当にこの1回になってしまうかもしれない経験。「こんな経験をしたよ!」ってすぐ自分の知り合いや、ツイッターとかで、大宣伝したいくらいの経験だったので、ひとまず、自分のブログにこの「まるごと感」をあまり整理せず、体験記として書いておきたいと思います。以下、公演のネタバレがあるので、たたんでおきますね・・・。

  場所は、銀座3丁目。以前、7ORDERさんがお世話になったABCマート銀座店のすぐ裏手あたりになります。ディズグーニーズは地下1階。検温、手の消毒の後、フロアに入ってまずびっくりしたのがその広さ。広々としたフロアの奥に小さめのステージがあるのですが、一見して「あ、遠いな~」って思うくらいに広い。そして、右手にはかなり長いバーカウンター。バックにはお酒も一杯にならんでおりました。それにしても、その立派さに、いや思い切ったことをしたもんだなあってまずはびっくり。

 そして、自分の席に通されると・・・。広いフロアには丸テーブルが20くらい(横4つ×縦5列くらい。ど真ん中のお席だけセッティングされていない)、プラス、フロアの周囲のお席が。テーブルの上にも、テーブルとテーブルの間にも透明のアクリルパーテーションが立てられていて、飛沫感染対策ばっちり。でも、大きな透明のパーテーションのせいで前方のステージがあまり見えなくって、どうなるのかちょっと不安。更に、自分のお席はフロアの後方(5列目)のステージに背を向けて座るお席だったので、チケット申し込みのオープンと同時に席を取ったにしては、なんだかあまりよくないお席のような気もして、色々と不安にもなりました。

 さて、今回は、お食事付きということで、お代は15000円。なかなかのお値段ではありますが、コロナ禍で座席数が減らされ、その分、普通の劇場でも1万円以上したりしているからしょうがないかなあって思っていました。しかし、席についてから運ばれてきたお食事にまたびっくり。いや、これが凄かったんですよ・・・

  お食事の内容は前菜盛り合わせとメイン一皿とドリンク1杯。前菜の盛り合わせは、冷たいスープ、中がとろっとしたモッツアレラチーズみたいなのに生ハムとサラミ、タコのバジルソース、チーズ味の焼きプリンみたいなのにキャラメリゼしたナッツ、牛肉の煮込みのコロッケ、ソースが絡んだオリーブの6種盛り。どれもひと手間かけたおいしさ。生ハムの熟成感とモッツアレラチーズみたいなののボリューム感、タコの新鮮さと火の通し具合、煮込みの詰められたコロッケのコク、焼きプリン(みたいなの)の味の取り合わせ、どれも本当に美味しかったんですよね~。そして、更にびっくりしたのがメインの本日のパスタ。オマールエビ半身とトマトソースの太めのショートパスタ。まずは見た目が豪華で周りの人がみんな注目していたのがちょっと嬉しく。オマールは食べにくくはあるものの身の火の通り加減が絶妙だし、頭のところには味噌もいっぱいでこれがコクがあってめちゃ美味しく。パスタのトマトソースも甘めでちょっと苦みがあるのが自分好み。その上、ちょこっとかかってるチーズソースはほんのりゴルゴンゾーラっぽい香りがて、そこも痺れました。本当にこの「本日のパスタ」をチョイスしてよかった~。そして、フロアでは10人近くの黒服のスタッフさんがひっきりで給仕をしてくれているんですよ、ステージ前の忙しさもあるんだけれど。なんていうスケール感。これだけで7000円くらいは取られちゃうんじゃないかという感じで、採算取れているのか正直不安になるくらいで(笑。いや、本当に、贅沢させてもらった感じありました。あと、細かなことですけど、食事後のトイレタイムも十分計算されてて、そこも嬉しかったですね。
 そして、フロアも落ち着いたところで、おなじみのシンディーローパーのディスグーニーがかかり、終わると、まずは私の席からは遠いステージで1曲(詳しくは書けませんが、ずっと聞きたかったけれど聞く機会がもらえなかった勝吾さんのお歌で、すでにここで圧倒されていました。来てよかった)。フロアのアクリルパーテーションはそのままで、ああ、このままの感じで続いていくのかなあって思っていたら・・。次々と現れる俳優さんたち。全員がフロアを自在に動き回り、お芝居が進んで行く。フロア真ん中のテーブルが演じる場所の中心ではあるけれど、フロアもバーカウンターも全部使ってのお芝居。ふと気が付くとキャストの方々がフロアのそこここに現れ、お話が進んで行く。もちろん自由気ままではなく、きちんとしたストーリーをフロアで展開していいく。ある意味で舞台の上よりも自然なシチュエーションで、様々な思いを体全体に溢れさせて、全身で演技して、キャスト同士が魂の交感しあってる。そんな様子をしっかり見せてもらえたのでした。ある場面で、中央のテーブルで勝吾さんが本当に凄い目の力の強さで、低い位置をとって良子さんに切々と語る場面があったのですが、その目線のまっすぐ先に自分がいて、その迫力、本当に凄かったですね。萩野さんと賢志さんの姿かたちや佇まいの美しさ、良子さんの演技の幅広さ、洋二郎さんの優しさの表現、宮下さんのいつでも笑わせる剛腕、初めて見た北村さんの芯の強さを感じるお芝居、そして初めてしっかりみた西田さんのお芝居の軽みがありながら的確な表現力。本当に眼福とはこのことでした。

 個人的に凄いなあと思ったのは、単に目の前で俳優を見せるというのではなくって、そのお芝居空間に観客を置いてしまったという逆転の発想。舞台という向こうの様子を見るのではなく、お芝居の空間の中に観客が埋め込まれているそんな感じだったのです。そういう手法はもう色々とあるのかもしれないですが、キャスト8人のお芝居の力が、このディスグーニーズというハコ全体に広がって、大きな魔力を生む結界をーそれは今回のお芝居のテーマの一つだったかもしれないですがーを作り上げているように思えました。その空間の中で、アクリルパーテーションはしっかりと舞台の大道具に変わっていました。見えるけれど分断するアクリルの壁がしっかりと意味を持ってそこにあったのですよね。本当に感心しました。最初に席に着いた時にはちょっと外れのお席かもと思っていたのですが、いつの間にか自分の席はこのフロアの中で一番いいお席と思えていたのもびっくりでした。おそらく、それは私だけでなくこのフロアの中の多くの観客が思っていたように感じましたし、実はいる場所で見えているお芝居が少しずつ違う(私の席からはラストの洋二郎さんの思いの結末シーンがいかにもディスグーニーなやり方で見えたのですが、見えなかったお客さんも多かったかもしれません。私も他のキャストの結末シーンを全部は見れてないでしょう)のも凄いものがあるなあって感じたところです。こんな空間を用意した西田さんはほんと天才だなって思いましたし、お芝居の醍醐味(個人的にガラスの仮面の海賊船の段を思い出しましたね)を見せていただけたなあって感じました。
 今回のエイリアンハンドシンドロームの筋はここでは書きませんが、孤立してしまった船に乗り合わせた8人の人間模様(いや、ひとりは宮下さん演じるAI搭載のロボットだけれど!。本当に怪演とはこのことで、ぜひ勝吾さん演じるやはりのロボットと対決していただきたいという妄想がむくむくとw)を描くものでした。人間が生きている理由。生と死の狭間を決めるのは誰なのか。会いたい人に出会い、思いを叶えようともがいていくことが生きることという「願い」が描かれていると感じました。そして、その物語はこの8人でがっつりぶつかり合うからできるものであって、だから一緒に航海してるんだなあって、すごく勝手ながら腑に落ちたところがあります。上に書いてきたように、このまだまだ色々な大変さや制約がある中で、どうすれば自分たちの思いを果たせるのか、しっかりした強度を持って、できるだけ妥協せず、でも、力を合わせて何かを作り上げるための人数というか人たちなんだなあって思いましたね。
 そんなことを思ううち、いや経験していくうちに感じてたのは、やはり応援している7ORDERのこと。舞台を見ているうちに、やっぱりここに私の大好きな萩ちゃんがいたらなあと思う時もあったし、この公演をぜひ見てもらいたいなあっていうのもありました。でも、全部見終わった後、この舞台がこの8人でしっかりと結束して作ったからこそできた舞台であることを思うと、きっと7ORDERの7人も、そこにある萩ちゃんもしっかりと結束して、自分たちの目指すべきところ、やるべきことをやるために結束して頑張っているんだろうなあって思ったんですね。ファンの欲目とは思いますが、この二つの集団の在り方はすごく通じるものがあるように思えた舞台でした。大きな海原を航海しているのは、ディスグーニーもそうだし、きっと7ORDERだってそうなんだろうなって思うんですよね。きっとそのうちに大きな海のどこかでばったり二つの船が交わる時空もあるのかもしれない・・。そんなことを夢見つつ、素晴らしい経験をさせてもらえたことを感謝したいと思うのでした。