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映画「死神使いの事件帖ー傀儡夜曲ー」の感想1:まずは割と周囲のことから

 鈴木拡樹さん主演、安井謙太郎くん出演の東映ムビ×ステ・映画「死神使いの事件帖ー傀儡夜曲ー」を初日と本日6月21日の2回、まずは見てきました。90分とコンパクトな時間枠の中に、歴史伝記ロマンも、高度な殺陣やチャンバラも、そして様々な特撮技術も、ちょっとした謎解きも、人情味も、そして主演の鈴木さん、崎山さん、われらが安井くんの俳優としての華やかさを全部盛り込んで、とってもバランスのよい、面白い映画でしたね。個人的には前回ムビステのGOZENが夜の場面が多かったように思うのですが、今回は明るい日差しの中での映像が多くて、東映太秦映画村のセットがとても美しく映っていたのが心打たれました。1975年にオープンして早45年。半世紀余りの時間が経過して、セット自体も古色を帯びてきて、東映の、そして日本の誇る財産であり、それを世に知らしめるための役目がこの「東映ムビ×ステ」にはあるんだろうなあって少し感たりもしました。

 東映と言えば、時代劇、東映と言えば、特撮。その両方の歴史が流れ込んでいる東映ムビ×ステ。それに加えて、今回のしにつか映画で強く感じたのは、東映のもう一つの顔。ヤクザ映画、任侠映画東映。その香りが強く漂っていたように思います。それは、崎山さんが演じる町奴=侠客がフィーチャーされていて、そういう庶民層から立ち上がる不良なアウトローと何かしら権力をカサにきるアウトローがぶつかり合う場面がたくさんある(冒頭の崎山さんと萩野さんがぶつかり合う画面の作りとかもうギラッギラでかっこよかった。崎山さんは今や少ない「東映顔」だと思いましたよ)ところからも感じられました。そして、また、鈴木さん演じる幻士郎が、謎に迫る中で自分の「義」を思い出し、それに殉じていくことで、自分の役割を見つけ、自分本来を取り戻していく・・みたいな流れが「義理と人情、秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界」のような東映ヤクザ映画の世界を思い出せてくれたように思うんですね。お藤の藤は藤吉郎の藤ではなく、緋牡丹博徒シリーズの藤純子の藤ではないかと思うくらいです(笑。そして、彼の義は立派に平和な世の中を取り戻す役目を果たしたのだけれど、戦国の生き残りのオールドタイマーの千姫と甚右衛門が「立派に役目を果たした」と妙にサバサバと言ってるのを見ていると結局、幻士郎の義はなんだったんだろうと。なんだかんだと使われただけでは?傀儡夜曲の傀儡とは実は彼のことだったのではないかとちょっと底知れないものも感じたりして・・この辺りは、もうちょっと回数を見て考えたいなあと思っているところです。

 さて、前回のムビステのGOZENもそうでしたが、今回も時代背景が三代将軍家光の時代となっています。平和な世がいったん訪れたにも関わらず、戦乱を望んでしまう欲望、そんな世の中に若者はどう向き合いどう戦うのか・・という東映なテーマを展開しやすい時代だからでしょうか。今回はその中でも、映画の冒頭から、旗本奴と町奴(侠客)とのぶつかり合いを取り上げてくださっていて、ゆくゆくの舞台では「武士」ではなく「一介の町人」が侠客という町人のままとして戦う姿を描きたいのかなあと思ったり。それにしても、悪の親玉があの有名な旗本奴の総元締め水野十郎座衛門そのまんまの水野九郎座衛門というのが、ベタですけど、もう帰ってwiki見なきゃーってなってよかったです。そういう「調べなきゃ」と思わせるのが時代劇感があって凄くいいなあって感じました。

 個人的には、そして、今回の大きなネタが、秀頼の隠し子と江戸に戻ってきてからの千姫・・というどう考えてもワクワクするやつというの嬉しかったです。和宮もそうだけれど、二つの組織の架け橋になる人という設定が好きですし、意外とこのあたりあまりお芝居になっていないところなのがいいんじゃないかと。そんな晩年の千姫を高田聖子さんが愛情たっぷりに演じていらっしゃって。ああ、愛情ってこういう風に、確かに千姫は大阪で確かに幸せだったことを、表現するもんなんだと、高田さんが言葉の演技をするたびに涙が滲みましたよ・・・。そして、これも超個人的ですけど、保科正之が出てきたのが本当にツボで!というのも、子どもの頃、竹脇無我主演の江戸を斬る(1973年放映)が本当に大好きで、この主人公梓右近は保科正之(家光の異母弟)の世を忍ぶ双子の兄弟っていう設定だったのですよ~。めちゃめちゃ懐かしかったですけど、千姫の異母弟にあたるとは知らなかったなあーなんてことを思ったりしてねぇ。

 そんな風になんだかおばあちゃんの思い出話になってしまいましたが、まずはそのあたりを吐き出して、次回は安井くん、鈴木さん、崎山さんのことをじっくりと感想したいと思います~。なぜ十蘭は未来を見てきたような口を叩くのか、それなのになぜ一番精神年齢若いのか・・そんなことを書きたいなーんて思います~(いい加減w)。