ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

「27-7ORDER-」ストーリーのこと

 さなぴーこと真田佑馬くん主演の「27-7ORDER-」の銀河劇場公演に行ってきました。今回は、2月11日昼、14日夜、15日夜、16日夜東京千穐楽の4回。もともと2回(11日と16日)の予定だったんですが、1回目見て、ラストの27の演奏場面に大感激そして楽曲のよさを感じて急きょ14日を増やし、14日見たら舞台全体やキャストのみなさまにまるっとに愛着がわいてきて、衝動的に15日夜をリピーターズチケットで増やしてしまいました。初回から熱いけれど、するめ的な長い味わいもあるそんな舞台。

 この舞台の魅力はざくっと言って、真田くんを始めに、財木くん、梅津くん、定本くんと言った若手から中堅に差し掛かった俳優さんたちのアブラがのった味わいがありつつもキレのある演技のぶつかり合いと、真田くん作詞作曲のLove Showerや27を始めとする6つの楽曲とその演出の良さの2点だと思います。しかしながら舞台7ORDERシリーズのスピンオフとしてのストーリーや、ユウマの描かれ方も大事、それは今後更に大事になってくると思うので、まずはざくっとまとめておきたいと思います。

1.ストーリー

 時は、舞台7ORDERで言えば、7ORDERが結成され、何をしていいのか右往左往していた半年間のこと。この作品は、ユウマの過去をめぐる物語となっていて、メメント・モリというロックバンドをやっていたギタリストで27歳で亡くなったユウマの父カズマの荒れた青春と死を、27歳になったユウマが追っていく形になっています。ユウマの父カズマは、恵まれない生まれ育ちで心に傷を持ち、バンドをやっているが正直荒れた生活。しかし、メメントモリのボーカル・ショーやひょんなことから出会ったジャニスとの愛と性の交流の中で心を育て、ユウマという子を得て、後に伝説となるCD「メメント・モリ」を作ります。しかし、ジャニスを親に奪われ、死んだと伝えられ、ドラッグに溺れながらも赤ん坊のユウマを育てることになり、更には治安のための音楽活動の排斥という世情に翻弄され、27年の短い一生を不幸のうちに終わってしまいます。カズマの日記には、ジャニスの死はユウマのせいだと書かれ、ユウマを恨む気持ちが記されておりました。    

 そんなカズマの恨みが募った日記だけを親の記憶として育ったユウマは自分の出自を嫌い、7ORDERの仲間にも自分の出自や音楽に興味があることも隠して通しておりました。一方で、ユウマには中学時代に一緒に音楽を楽しんでいたヤマトという友人がおりました。その後施行されたAZ法により、ユウマはZ、ヤマトはGにランク分けされ、別々の人生を歩むことになります。その後、ユウマはZランクの高校でゲンキに出逢い友人になります。そして、10年後、3人は27歳になり、ユウマとゲンキはフリーターのような生活を送り、ヤマトは音楽活動を取り締まる検閲庁の官僚となって働いており、GとZの暮らしはほとんど交わることがありませんでした。

 そんな中、久々に突然現れたヤマトがユウマに1枚のCDを探して欲しいとやってきます。それが、父カズマが1枚だけ残したメメント・モリのCDであり、聞いただけで体制への反抗心が増すという危険思想のCDとして検閲庁上げて探しているというのです。昔の親友の頼みが嬉しかったユウマは、父への興味もあり、探すことを簡単に請け負います。ゲンキと一緒にZ地区では禁止されている音楽に関わる品物、レコード、CD、楽譜を扱っているという闇ショップ「Love Music」を探しあて、そこで店主をしていたメメントモリの元ボーカルのショーと、Z地区での音楽を守る活動をしているスコアクラブの4人(カート、ブライアン、シド、ジミヘン)に出逢います。彼らは音楽への愛に溢れ、ユウマと一緒に踊ったり音楽を楽しみ(ここで5人がダンスで披露するLove Showerが絶品!)、意気投合します。しかし、メメントモリのCDはそこにはなく、某大手レコード会社(名前忘れたゴメン!)が隠し持っているのではという情報を得ます。

 なんとかそのレコード会社と繋がる手はないかと考えたユウマたちはそのレコード会社が行っている新人オーディションに応募(Zは音楽活動を禁じられているが、レコード会社は有能な新人発掘のため出自を隠してもと思っている)。ユウマのギターとスコアクラブのダンスの一体型パフォーマンスを披露し見事合格となりますが、実はその大手レコード会社の会長がユウマの母ジャニスであり、裏で糸を引いていたのでした(笑。ジャニスは妊娠後、親にカズマとの仲を引き裂かれ、ユウマを奪われたのですが、会長就任後はユウマを探すため、オーディションを開催して彼が出てくるのを待っていたのでした。とうとう生みの母に会ったユウマ。ジャニスはカズマの最後をユウマに伝えます。27歳最後の日のメメントモリの最後の音楽禁止法に反対するライブの際に、威嚇発砲した銃弾に当たって不幸にもなくなったこと。そして、カズマの最後の言葉は「ユウマ」だったことを。初めて両親の思いに触れたユウマ。ジャニスはカズマの思い出にとあれこれ画策して手に入れたメメント・モリのCDをユウマに聞かせようとしますが、ジャケットケースの中から当のCDは消えていました・・。

 その頃、メメントモリのCDはヤマトの手に渡っていました。ヤマトはユウマの行動を監視し、先回りしてCDを確保。そして、ユウマに協力したLove MusicのレコードやCD、スコアクラブが集めた楽譜や音楽にまつわる品々をすべて押収し、ひとり悦にいっていました。昔、音楽が大好きだった彼は、今、音楽を取り締まるという立場になり、その心の葛藤から、音楽を憎むしかないと思い詰めているのでした。そこに現れたユウマ。二人は音楽への愛と憎しみを巡って体と心をぶつけ合うような争いになります(ここが本当に迫力があって痛ましい)。ユウマは中学時代、二人で音楽に夢中になり、音楽を楽しんでいたことを、全身全霊をかけてヤマトに伝えるのでした。そして、ヤマトも自分の心の苦しみをユウマに伝え、二人は想いを分かち合あったでした。そして、ユウマの父カズマが作った伝説のCDはユウマの手にようやく渡ったのです。
 オーディションに合格したユウマとスコアクラブがテレビの生放送番組で、カズマが作った「27」を演奏することになりました。そして、本番、スコアクラブの面々が自分たちは実はZランクで、音楽活動を禁止と闘っていることを、誰でも自由に音楽を楽しみたいと訴えます。騒然とするスタジオの中で、ユウマとスコアクラブはギターとダンスのパフォーマンスを全力で伝えます。その後ろには、伝説のメメント・モリのバンド演奏も重なります。悲しく閉じてしまった昔、苦しくも未来を見つめようとする今。パンクなバンドの熱い演奏と、素朴だけれど力強いダンスパフォーマンス。二つの時代の諸々が重なり溶け合う圧巻のステージでした。ジャニスも昔哀しい嘘の伝言を伝えた秘書のタケウチもヤマトもゲンキも(おそらく都合で姿はないけれどおじさんのショーさんも)その様子を見ています。「きっと僕らはさびしがり屋なんだ、暗闇は怖いけれど・・・。だから行くよ、愛が鳴る方へ」と歌ったカズマの思いは、27年後にようやくその達成をみたのでした。

 残念ながらそのテレビで生放送されたスコアクラブのパフォーマンスは巷の評判を得ることはなかったのですが、ユウマは「俺はマジだから」と音楽活動を本格的にやっていくこと。自分自身の音をならし唄を歌うことを心に誓い、7ORDERと一緒にバンド活動をすることを決めるのでした。スコアクラブの面々、ショーさんのLove Music、ジャニスの大手レコード会社、そしてきっと温かい目でみているだろうカズマと、変わらぬ愛で傍で支えてくれるゲンキ、たくさんの愛がそんなユウマを見守っています。だから、きっと、あの舞台7ORDERの、ギリギリのライブの場面でユウマは叫ぶことができた・・そんなことを思い出させるラストシーンでした。

2.舞台7ORDER世界の補完点

 この27で新たに明らかになったことがいくつかあったのでまとめておきます。 上に書いてあることとダブってはいますが・・・

  1. 27の時間軸は7ORDERが結成されて初ライブするまでの半年間の間。なお、美勇人くん主演のラジカルパーティーは1部が7ORDER結成前のお話。2部は舞台7ORDER 後設定のステージ。
  2. 舞台27の時点で、すでにレジスタンス的なグループとして7ORDERはそこそこ名の知れた存在となっている。
  3. AZ法は移民増加による治安維持のために舞台7ORDERの10年前に施行。その時ユウマは17歳で、おそらくその後、Zランクだけの高校に集められ、そこでゲンキに出会う。
  4. ユウマ中学時にはまだAZ法施行前でランク分けはなく、後にGランクと評価されるヤマトと一緒の中学に通っていた。
  5. 27年前には治安維持に影響があるとして音楽ライブなどを取りしまるNML(No Music Law)が27年前に施行されているが、ユウマとヤマトの中学時代には自由に音楽が楽しめていた。が、AZ法施行後は少なくともZランクは音楽を聴くこともライブ活動などすることも禁じられている。その取り締まりのために「検閲庁」なる役所がある。
  6. Zランクは音楽活動が禁じられているが、新人発掘や音楽の隆盛のため、どうも身分を偽って音楽活動することは、秘密裏に行われているようで、大手レコード会社も容認している。もしかすると舞台7ORDERのショウキがより高いランクの劇場で活動ができていたのはそういう背景があるのかもしれない。
  7. ラジパの政治家になったゴッド兄さんもそうだったけれど、27でも検閲庁のヤマトや大手レコード会社会長のジャニスといった非Zの支援者が広がりつつある。
  8. ラジパのウォークライそうだったけれど、今回もスコアクラブの面々はみんな容姿端麗&才能高くて、めちゃくちゃカッコいい。ますますAZ法の根幹はいい加減な気がする・・。

 とりあえずまずはこのへんで。スピンオフは個々の登場人物の掘り下げも面白いのですが、実は舞台の7ORDERにはそれぞれに支援者や仲間がいて、でも、彼らは彼ら自身の力で立ちあがっていきたい・・というそんな構図が見えてきたようで、そのあたりもとても面白いなあって感じます。それでは、ようやく次にざくっとした感想を!