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Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

舞台「PSY・S」思いつくままに(ネタバレです)

 またまた嬉しいことがあった今日な訳ですが、まだまだあの素敵な舞台「PSY・S」の感想を綴っておきたい今日この頃。今週末(23日、24日、25日)と大阪公演がありあすが、色々と想いが溢れてしまったので、書き留めておきたいと思います~。ガッチガチにネタバレですし、とんでもな私見なので、どうぞご容赦のほど、よろしくお願いいたします(笑。

①2回は見て欲しい舞台のこと

 色んな謎やエピソードが詰め込まれていて、1度で理解できる方は本当に凄いと思うけれど、それでもやっぱり2回見ると更に感慨が深くなる作りになっているなあと。特に、前半の少し経ったところででてくるOPのパートは、そこにこの舞台のすべての登場人物のあるべきだった場所が埋め込まれていて、本当に泣けるんですよね。特に、お互いにキラキラの愛おしさを振りまいて手を振り合う教授と大佐のヒトコマとかすれ違うディマリオとリオンとか、ドイルとメアリーのあの黄色い花を手に取って仲睦まじくしてるところとか・・。気づいた時にうわーってなるんですよ・・あれは反則です。
 時間旅行がひとつのテーマの作品だから、もう一度、時間をさかのぼってこの舞台に向かい合うのもいいのかなあってついつい思います。

②シンプルに真犯人の動機について
 まずは、すっごく単純にホームズへの愛、執着だったのかな。だから、ホームズを自分から奪ったリサを、そして彼女が守ろうとしている娼婦たちを手にかけたのかなあって。純粋(というのかわからないけれど)にヤコブの花を使って神になりたかった、自分の周りのものすべてをコントロールしたかった、そしてホームズに勝ちたかったってのもあるんだろう。でも、リサの店まで来て、執拗に彼女の存在を認知して、付きまとおうとする姿を見ていると、「この女が!!」みたいなのを感じてしまう女子目線なのでした。
 書いてしまうとめちゃめちゃ単純でちょっと恥ずかしいけれど、ホームズに「尊敬『は』していましたよ」と愛情の存在を否定されてしまったから、その本心をどこか隠そうとするー自分の手を汚さないとか、闇に葬ろうとするとかーそのジタバタしてるところで「欲」も見え隠れするところが、人間くさくて、憎めないんだよなあって、ついつい思っちゃいました。

③ワトスンについて
 ホームズも教授も本質は同じ人間で、サイコロの目を予言できるような神の目を持ちたい人。知恵を駆使して、サイコロの目のような、そして教授が言うように人間世界のほとんどがそれに影響されるような、「偶然」というものまでも自分の力でコントロールしたいと思う人。そして、教授がその念が犯罪の根本の鍵の一つであると言ってるようにも思う(彼らの犯罪係数をついつい知りたくなるw)。ホームズも何かあればコインを弾くのは、自分でその出目がコントロールできるかもしれない、したいと思ってるからなのかなあって感じる。
 でも、この舞台のワトスンは、その言葉を遮るかのように「表だ!!」とそれしかありえないと舞台いっぱいに声を響かせる。「解決するんだ」と神に負けそうなホームズに叩きつけるように檄を飛ばす。ワトスンは俯瞰から下界を見やり、そこにサイコロの目を見出そうとはしないんだよね。自分が求める、みんなが求める世界を自分の意思で選択する。運命は神が決めるものではなく、自分の意思で「表だ!」と宣言する。この舞台のワトスンはサイコロを振らない、アインシュタインの世界の人。その強さを、龍之介さんの力が実現化する。誠実で、熱くて、意思の力で、困難な運命に立ち向かおうとする。そのサイコロの世界とは別の世界観にホームズは強く惹かれているんだろうなって感じたなあ・・。
 そして、エピローグ、ドイルの語るその後のホームズとワトスンのくだりで、賭けをしようと相変わらず言うホームズに、「表だ!」とワトソンがいつものように言う訳だけれど、そこでドイルも「表だ」ってはっきりと言うんですよ。そこに自分の力で未来を切り開く意思を得たドイルを見てまた泣けましたよ。
④ライザのこと(めっちゃ厨解釈w)
 舞台でのライザは舞台の登場人物で一人だけ宙に浮いた存在、ディマリオ(個人的にはディア・マリア:マリアを愛する人な意味かなあ)を偶然見つけて保護して、見守っている人となっている。それ以上の繋がりは明示されていなくて、でも彼のことを心配して「信号」を送り続けたり、娼館まで出かけていったり、本当に献身的な愛を示してくれる人。物語の中で、登場人物たちの愛がそれぞれおさまるべきところに納まっているのに、彼女だけ本当に一方通行の愛を、それも俯瞰的にディマリオに注ぎ続けているんだよね。その孤高の美しさをそのまま受け取ればいいのかもしれないけれど、やっぱりついつい思ってしまう・・。
 彼女は、きっとミケランジェロが時間を超えてまで探し求めた、花屋の娘の記憶まで奪って得ようとしたマリアの生まれ変わりだったのかなあって。時間の迷子になって、悪党たちに翻弄された彼を救うために現れた奇跡・・みたいなw。あー、書いていてほんと厨だなあって思うんだけれど、そう思うと彼を思うライザの献身はきちんと報われた・・と思うし、ミケランジェロとマリアの愛はきちんと達成されたのだなあと、ひとりで勝手に涙している(笑。最初の感想がこれか・・って思うけど、すっごく心に残ってるところで、松岡さん本当に綺麗に気高く演じられたライザが気になってしょうがないので書かせてもらいました。

⑤燈さんルパンの一番カッコ良くて好きだったシーン 
 初めて拝見した俳優さんなのにとても初めてとは思えないみんな大好きな赤澤燈さんのルパン。全編200%カッコイイが詰め込まれているし、ルパンらしい気取りとか見栄っ張りとか欲もあって、本当に当たり役じゃないかと新参者ながら思うくらいで。本当に綺麗に切っ先が真円を描いているような剣の殺陣も見事だったし、あのコートとシルクハットがこんなに似合う方はなかなかいないと・・。
 でも、個人的にそれ以上にカッコよくって総毛だったのは、警察官に変装して、その正体を明かすところ。ポーズも素晴らしく良かったんですけど、とにかく、あの平警官の制服が似合っている~。明治期くらいの兵士の服にもにて、あの縦襟とスカーフタイがホントに素敵で。あの服装でぜひ一本見たいと思うくらい好きでした。ぜひ、サイズの続編でもそんなお姿が見たいと期待しております・・。
 あと、その警官に変装したルパン、ワーカー警部と揃ってやってくるところから一緒に出てくるんですよね。セリフもあったし、相当コミカルな演技もされてて、ほんと気づかなかったなあって、そこも素敵でした。

⑥ディマリアのこと
 鈴木勝吾さん演じるディマリア。この舞台で一番の変化の多い役かつ最大の「あなたは誰?」の謎が隠されていた人物。その多彩な役柄(おおよそ4役務めていたみたいなもの!)をまとっていく華麗さと影をまとったお姿、本当に素敵でした(特番で萩ちゃんが演じてみたいと言っていたのが今となってはよくわかる・・)。ルパンの影を演じている時のアクションが、燈さんのルパンとクッキリと違えているようで、その重さ、袈裟懸けに切り分けていく剣先の動きが本当に痺れました。できることなら、この方の眠狂四郎が物凄く見たい・・・。
 そして、もう一つびっくりしたのが、初日から東京千穐楽にかけて一番お芝居が変化したのがディマリアだったように思うんですよね。初日とその次(11日)に見た時には、恋人を無くして失意のうちに時間の迷子になり、真犯人に翻弄される人で、あまり自分の意思はよく見えず、ようやくリオンの愛によって正気を取り戻す受け身な人・・に見えていたんですよ。犯罪に翻弄される不幸な人という位置づけにも思えました。自分が、あまり物語の筋が見えていなかったせいもあるのかもしれません。 
 でも、13日昼だったか14日夜に再び見た時には本当に印象が変わっていて。正気を取り戻しかけ、ドイルとメアリーのやり取りを見て、「その人が君の愛している人なの?」と自分の現実をはっきりと知った時、ぽろぽろと涙を流されて、そこからは熱く熱く気持ちの入った、ミケランジェロとしての魂を取り戻した姿にまさしく変身されるんですよね。自分がなくしたものをはっきり認め、そして自分の傍にあった愛をきちんと受け止め、彼本来の輝きを取り戻したのがはっきりと自分にもわかった気がしました。複雑な人格にひとつ芯がはいったような・・。もちろん、こちらの思い込みも多分にあるでしょうが。
 さて、ディマリアの関係で、よくわからないことが一つ。ひとつはなぜ彼はヤコブの花を持って時間の旅にでかけたのかということ。そして、もう一つは、花屋の2階は2部屋あったのか(ディマリアとホームズの)ということですw。こちらは来年の秋にDVDが発売されたらゆっくりと考えたいと思います(笑。