ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

色々と思うこと

 今の自分は、グループの大切なものを喪失した人の悲しみはきっとわからない。だから、たぶん、これから書くことは、そんな人からしたら凄く無神経な文章になると思うけれど、やっぱり「それぞれ自分の大切なものに向かって進む人を止められないし、止めてはいけないし、その末にグループとして得られるものがある」とも思う。わかっているわいとも言われそうだけれど、ブログという小さな空間の中でちょっとだけ置いておこうかと思う。

 思えば、学生時代からバンドが好きでよくライブハウスにも通っていたことがある。たくさん惚れてきたけれど、本当に大好きで、人生観変わるほど、その音楽に惚れ込んだバンドは3つ。2つはなくなり、ひとつはずいぶん変わってしまったけれどなんとかまだ続いている(そこまで入れ込まなかったバンドはずっと続いているけれど)。最初に好きになったバンドは好きになって8か月で解散し、そのおよそ13年ボーカルが亡くなった。もう一つのバンドはだいたい好きになったのが遅すぎたがw、その後4年くらいで実質活動休止になった。そして、それから5年後の再結成ライブもつかのま、中心メンバーが亡くなった。思えば、最後を覚悟しての復活のお披露目だった。ありがたいことに最後のバンドは誰も亡くなっていない。

 まあ、しかしながら、3つともメンバー同士の方向性の違いでたもとを分かつこととなった。辛かったけれど、みんな「やりたいこと」であったり、どうにもならない事情を抱えて、それでもまっすぐ未来に向かうために、解散や脱退を決めたと思うしかなかった。当時はそこまでファンの気持ちを考慮してということはなかったような気がするし、まあ当たり前と言えば当たり前のことだった。最初のバンドで脱退した人たちは日本有数のバンドにまで成長し、亡くなってしまったボーカルはバラエティ番組の人気者にもなった。次の亡くなった彼は誰もが知るミリオンヒットを作詞、作曲した。最後のバンドの人たちはみなそれぞれに自分の仕事をしっかりと築き上げた。

 前のバンドのファンとして、その一般社会に大きく認められたお仕事はどっか心の底からは好きになれなった気がする。追いかけてもいたけれど、絶対前の方が楽しかった、エキサイティングだったと思っていた。しかし、彼らが目指すものは、その時の彼らにはその向こうにしかなかった。つかず離れずしているうちに、最後のバンド以外はもうオリジナルメンバーが集まることはかなわなくなってしまった。これは今だから思うことだけれど、そのバンドを脱退からの活動が彼らの世界を豊かにして、多くの人に喜びをもたらしてくれたのも事実であったりする。彼らがやりたいと思ったことが、ちゃんと形になって残ってくれたことはやっぱり本当に大事なことであったりする。ちょっと今の話になってしまうけれど、あの大人気の音楽番組で、その彼はどこか居心地の悪い表情をしていたような気がする。きっと心の中では自分だったら、と思っていたような気がする。どんなに世の中が支持していても、自分は・・みたいなものがあった気がしていたから、なんだかとてもまっとうな決断のように思えた。

 そして、今も応援している最後のバンド。バンドのメンバーはだんだんと減っていき、今は2人になっている。最愛のドラマーも腰の怪我をきっかけに抜けた時には、こんなに素晴らしい音楽を作り歌を歌える人がなあ・・っていうかなり寂しい気分になったりもした。でも、身軽になった彼らはやっぱり芯は変わらず、そしてより自由な音楽を奏でている。嬉しいことに、必要な時には、過去のメンバーと一緒にバンドをやることも徐々に増えてきた。昨年はあの最強メンバーでのコンサートが復活した。あのメンバーだからこその陶酔と、そして彼らが別々に過ごしてきた重みを演奏に加えて、懐かしい音ではなく、今のあの音を鳴らし、オーディエンスを躍らせた。本当に素晴らしい、私の価値観がまたひっくりかえった一日だった。そして、またそれぞれに仕事をしていている今日この頃だけれど、この一瞬に歓喜したファンのなんと多かったことか。それが達成されたものそのミュージシャンが2人でも続けることを選んでくれたからかもしれない。
 グループはまるで生き物のようで、天からやるべきことを託されたグループは、そのメンバーでしかできない、そのメンバーでしか吹かない風を吹かせることができる。天から与えられた見えない使命を達成することが彼らがグループになった一番の意味であると思う。そんなグループに恵まれ、やるべきことを達成できたメンバーとそれを見ることができたファンたちはそれだけでも幸せものなのだ。そして、その使命はどこかで終わりを告げて、彼らは次の目標に向かっていく。その人生、LIFEの醍醐味に、私たちは向き合っている。悲しいけれど、ここが終わりじゃない。その先に見える幸せな未来を見続けていきたいと思う。