ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

舞台「7ORDER」感想その1(ネタバレあります)

 舞台「7ORDER」私的初日、25日昼公演行ってまいりました~。この日まで嬉しい気持ちでいっぱいだったけれど、おばさん特有の心配性も出ていたのですが、終わってしまえば舞台上の彼らのアイドルとしての、エンターテーメントに向かう姿勢の鮮やかさにほとほと感心させられました。興奮したし、楽しかったし、あんまり気分がよくって、夜は酒盛りするくらいでした。あー、よかった、ほっとしました。やっぱりこの7人が揃った時の観客を巻き込むエネルギーの強さに痺れました。ざくっと感想を書いておきます。大きなところでネタバレなので、気にされる方は気を付けてくださいませ。

 2幕もので1幕は、近未来のどこかの国での7人の若者たちの物語。政府の方針で、最下層に貶められ、愉しみや生きがいを奪われた若者たちの「再生」を描いていきます。割と最近のアニメや舞台にはよくある素材ではあるのですが、演じる7ORDERメンバーの、一人一人のくぐもった、抑圧された、どうしようもない、葛藤する思い。その感情表現とか、セリフと身体から噴き出す圧力というかパワーが本当に凄くて。細やかな感情表現も上手でしたけど、何より演者の気持ちとセリフにかける心意気と熱さにやられました。熱くて感情が迸っているのに、ちゃんとセリフが聞き取れるし、演技が壊れちゃうことがないところに彼らの進歩を感じました。

 この感情の発露の適切さ(と書くと冷たく聞こえますが)と距離感。お芝居のあちこちでLove-tune時代からのあれこれを思わせるようなシチュエーションがあるんですが、リアルな世界では彼らの本当の気持ちなんてほとんど見えなくて、今の彼らの明るい表情の活動だけしか見せてもらえてないから、こんな風な気持ちになったこともあったのかな・・とか、あの時の気持ちを昇華していくならこういう思いになるのかなとかやっぱり思うところはありました。でも、そんなリアルな感情も感じつつも、ストーリーを通して、一般的な問題意識に落とし込まれているところが、絶妙な距離感を作っているのかなと思います。何を足して何を引くかっていう点で、映画「ニートニートニート」とも近いものを感じたかな。ケンタロウとレンチは凄く似た役割を背負ってしまった人だからよけいにそう思いました。

 表面的なところでは、ストーリーの巧みさや入り組んだ面白さで見せるお芝居ではないし、結構ご都合主義みたいなころも確かにあります。でも、お話がシンプルで、感情がきちんと表現できているから、その物語の核心は十二分以上にしっかりと伝わる気がするのですね。見方を変えれば、いい意味で、俳優としての彼らの等身大の姿が、気持ちよい形で表現していただけているなあって感じる舞台です、今のところ。大人の力を借り過ぎていないこと、それは2幕にも続くテーマみたいなものですが、本当に素敵なところだと思います。

 舞台の中で7ORDERの名前の由来が語られるのですが、ここでは「秩序・体制」っていうことみたいですね(勘違いでしたらすみませぬ)。国の秩序を守るための法律によって不幸になった人たちが、自分が自分らしく生きていくために、自分自身の「ORDER:秩序や体制」を持とうと呼びかける。仲間のひとりひとりが自分のための「ORDER」を持つことが大切なこと。自由はもちろん大切なものだけれど、それを形にすることはもっと大事。仲間で一致団結して同じものを目指すというよりも、それぞれの人のままお互いを助け合うために手を組む。そんなことが語られていたように思います。舞台からそんなメッセージを感じながら、ひとりひとりに異なるORDERだからあくまで単数形なんだろうなってプロジェクト発足からの疑問が少し溶けたような気がします。

 そのスピリットが彼ららしいカッコよさと伴って思う存分表現されていたのが2幕のライブパートだったように思います。そのバンドのかたちはLove-tune時代と同じ。安井くんと顕嵐ちゃんがWボーカル、モロちゃんがサックス&ボーカル、ながつがキーボード&ショルキー、美勇人くんがベース、さなぴーがギター。そして萩ちゃんがドラム。でも、本当に根本から違いがあって。それは各パート、それぞれの声が、きちんと生音だったこと。全部が全部じゃないけれど、生音前提のバンド演奏になっていた。彼らの音で彼らの曲が聞ける。それも熱い熱い演奏で。こんな幸せってある???

 Love-tune時代のバンド&ダンスのパフォーマンスも本当にかっこよくって、アイドルの形として痺れに痺れていましたよ、でも、この日見た7ORDERのバンドは、パフォーマンスのためのバンドではなく、音楽のためのバンドでした。音楽で、彼らと客席が一つになるためのバンド。萩ちゃんのドラム見ながら、その音をストレートに聞きながら、本当に幸せでしたよ。もし、あのままだったら、こういう幸せがやってくるのは相当先だっただろうから、この日に、演奏が聞けたことは本当によかったと思うんですよね。もちろんまだまだこれからなんだろうけれどバンドとしてまっすぐ成長していくそのスタートラインに立ったなあと。自分の力で音楽ができるグループになる記念すべき第1歩だったなと。一緒に行った家族(楽器弾き)にバンドのこと聞いたら「ほんとうまくなったね。そりゃ1年、時間があったんだからね」と言ってたので、ぶってやろうかと思ったけど(笑。
 感極まり過ぎて、あまり全体を見れていなかったのですが、萩ちゃん、ドラムの時も色んな人にアイコンタクトしかけていたんですよね。階段の上で安井くんがソロ歌うのに視線を送っていたり。横のながつにもよってきた美勇人くんにも。本当にまっすぐ進化して素晴らしかったです。新曲の何かで、ながつのショルキーの空男ソロっていうかセンターで長く引くところがあるんですが、その姿がすっごくセクシーで蠱惑的なところがあって、これは絶対見るべきと思いましたよ。演奏もだけれど、歌もいいんですよ。・・7人の声が一人一人違っていて、しっかりと歌えていて。新曲の顕嵐ちゃんのハイトーンボイスのパートとか背中にビシーッと電流が走りました。

 そのLIFEという新曲、勢いというかイキイキとしたグルーヴが溢れているところとか、親しみやすいメロディラインも思いに溢れていて、バンドのデビュー曲らしいエネルギーに満ちていたなあとついつい妄想がたくましくなってしまいました。あれは相当練習していますね。3曲ともいい曲で、大事な大事な曲ができたと思います・・ちなみに題名がLIFEっていうの、曲のテーマもですけど、思い出のあの曲を、敬愛していたあのグループを思い出させるもので、もうね、泣きそうでしたよ。そんな風に、本当にいいバンドを見せてくれた今回のステージでしたが、きっとそのうち、きっとアクロバティックなハイブリットなダンス&バンドもやるんではないかと、そういう展開もきっとこの延長線上であるんだろうと強く思わせられました。

 そんな風で、7人そろって感動!以上のものが確かにあった舞台「7ORDER」でした。粗もあるかもしれないけれど、彼らは自分の足で歩き続ける準備が完了したのです、きっと。本当に本当に7人一緒のステージに戻って来てくれてありがとう。あと2回見に行けるので、もう少しレポ続けますね。