ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

リーディングシアター「ダークアリス」見てきました。

 リーディングシアター「ダークアリス」(@サンシャイン劇場)6月1日、2日と行ってきました。脚本演出は、斬月舞台でお世話になった毛利亘宏さん。出演は、1日は、矢島舞美さん、関智一さん、久保田悠来さんのトリオ、2日は1部と2部が石川由衣さん、石川界人さん、と我らが萩谷慧悟くん、そして千穐楽の3部が石川由衣さん、山崎銀之丞さんと萩ちゃんとという組み合わせでした。

  朗読劇と銘打っているものの、キーボードとパーカッションの生演奏。そして、アリス役のダンサーさんも大きな役割を担っていて、3人の演者さんも台本こそ読んでいるものの表情や動きもかなり普通の演技に近くて、枠を大きく飛び出した不思議な、本当に面白いステージになっていました。生の力、組み合わせの絶妙さを存分に存分に発揮できる舞台というか。自分が見た矢島さん関さん久保田さん回、石川さん萩ちゃん石川さん回、そして石川さん萩ちゃん山崎さん回。それぞれそれぞれの人格、強調するテーマ、全体の印象、みんな違っていました。本当に初日から全部のステージ見たくなりましたね。

 とはいえ、一本貫くのはその脚本、そのストーリー。本当にかいつまんで言うと、日々を忙しく、仕事や自分の社会的な役割のために、自分の恋人や自分の大切な体や心をないがしろにしていたアリサという女性が一時垣間見る夢のお話。不思議の国のアリスを下敷きに、どこか狂っていってしまう今の自分たちの生活や価値観について、何が罪で、何が悪かをはっきりと言上げし、それを断罪し、再生につなげるという毛利さんらしい脚本だなあと感じました。

 まず、最初に見た矢島さん、久保田さん、関さんのトリオ。矢島さんは今一生懸命に働いているOLさんらしく、美しいけれど、リアルな感じもあって。久保田さんはユーモアをじわじわとにじませた黒うさぎと暖かく小さなダンサーアリスに語りかける役。恋人役で誘拐犯役の関さんはワンダーランドのクレイジーな住人達をそれぞれの個性をユーモアたっぷり演じ上げていました。久保田さん、関さんとも観客のクスッっていうのを引き出すのが本当にうまい!そして、そのユーモアは、ワンダーランドの住人たちのシニカルさにも通じ、アリサの(そして自分たちの)生活の問題を俯瞰で見るようなそんな風刺っぽい感じがありました。

 その一方で、悪を、アリサの罪を断じながらも関さんの誘拐犯であり恋人はおおらかな、包み込むような優しさもあったんですよね・・。そして、煮ても焼いても食えなさそうなw久保田さんの黒ウサギと語りが、ふとしたはずみに見せる濃厚な優しさが素晴らしくて。久保田さんのお芝居って物理的に短いレンジの中でどこまで濃くくっきりと伝えられるかみたいなとこってあるような気がするんですが、今日は更にそんなところが強調されているようで頭がクラクラしました。また、お話が終わった後で、久保田さんが閉じた台本を胸のところにちょっと押し当てる感じで愛おしそうに抱くの・・あれは久保田さんだけだったなあ・・最後の最後まで目が離せなかったですね・・。

 さて、翌日のW石川さんと萩ちゃんの回。最初に語り手が登場するのですが、てっきり萩ちゃんがあの黒ウサギの茶のスーツを着て登場するのかと思っていたら、まさかの界人さん。つまりは誘拐犯以下8役だか何だかは萩ちゃんが演じるということが分かって、心臓爆発しそうになりました!昨日、あの関さんがやった縦横無尽なあの役を萩ちゃんがやるのか・・。もう不安マックスと嬉しさで死にそうでしたよ・・。昨日の公演を見て、あの「君は悪だ」というセリフを萩ちゃんで聞きたかった。萩ちゃんにも台の上に乗って欲しかったし、布多いピラピラがついた服を着て欲しかったし、フードも被って欲しかった・・でも、その役を本当に萩ちゃんができるなんて・・本当にありがたくって、もう出てくる前から感慨にむせんでいました。    

 石川アリサと石川黒ウサギがひっぱるワンダーランドは丁々発止の畳みかけるような世界。これが声優さん同士のノリなんだなあとその生命力あふれる掛け合いに圧倒されそうでした。だって、2部の界人さんなんて、萩ちゃんが演じた青虫、チェシャ猫、帽子屋のセリフをいう箇所で、萩ちゃんの言い方にまるっと似せて、その声で演じていたんですから!本当に軽々と演じておられましたよ。そして、その圧の強い世界を切り裂き、悪を断罪していく魔王萩谷。美しくて、まっすぐで、でも黒々とした悲しさに満ちた一生懸命で熱いお芝居が本当に素晴らしかったです。このせつなさがあるからこそ、あれは「悪」なのだと証明してくれるかのような。

 誘拐犯のすぐにはだれかわからないようなお声も、青虫やチェシャ猫やの役作りの達者さもこのキャリアでと思うと萩ちゃんのポテンシャルを存分に感じましたよ。でも、何より、ダークアリスのお芝居のテーマを真っ直ぐに表現できたところが素晴らしいかったと。若者ならではのまっすぐに悪を断じる精神と、背景にある悔しさだとか辛さ、守りたい気持ちが迸っていたところ。そういうものが、毛利さんの脚本と共鳴するところがあるんじゃないかなあと、ファンならではの欲目で思った次第です・・。ともかく関さんとは愛のかたちが全然違ってびっくりでした。

 最後の石川・萩谷、山崎回。私が見た中では一番渋い黒うさぎの山崎さんでした。だからか、石川さんのアリスもちょっと抑え目。萩ちゃんも余裕が出てきたこともあってか演じる役たちのクレイジーさがよく出てくるようになっていて。自分が見たなかで一番ダークでドロッとしていた回でした。だんだん山崎さんの語り口の調子もあがり、その色に染まっていくのが面白く興味深かったです。やっぱり少しアングラな匂い(前に見た窪田くんと平さんの「滝の白糸」みたいな)が漂ってきたというか。山崎さんは迷える石川アリサと萩谷青年を舞台の沼にずぶずぶと嵌らせて、そっから再生させる黒魔術師って感じでしたね!(伝われw)

 終演後、本当に色々と思いましたね・・。萩ちゃんが魂を演じられる俳優さんに、10年後はどうなっているのかなあと本当に長く成長を追っかけたい俳優さんに、なっていくんだろうなと素直に思えた嬉しさとワクワクさ。一方で、萩ちゃんが関さんのように伸縮自在に、客席も笑わせて演じられるようになるのはいつの日かなあって思ったりもして。でも、今、ここまで、できたからきっとそのうちできるようになるなあと、とっても未来を感じた2日間でした。

 7ORDER projectのみんな、美勇人くん、顕嵐ちゃん、ながつ、そして安井くんも見学に来てくれて、それも初めてのことだったので、本当に嬉しかったです。そして、それが嬉しかったのか、萩ちゃんも怒涛の更新。とうとう公式ツイッターにも登場しましたよw 

 

ameblo.jp

 この萩ちゃんのノリノリっぷりw。チカラが有り余っているんだろうな。活躍できる場所をいただけて、頑張り場所を得られて本当に嬉しいんだろうなと凄く感じました。こうやって充実した舞台をもらえて、素晴らしい共演者の人と支えてもらいつつも渡り合って、新しい世界を切り開いていく。ファンとして本当によかったなあと思います。もうすぐモロちゃんのロックオペラR&Jもあります。きっとメンバーみんなが素晴らしい、自分の力を伸ばす舞台に挑戦できるんだろうなあと、それぞれが同じように世界を切り開いて行くんだろうなと思うのでした・・