ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

自分の値付け

 長く会社で働くことのよくないところのひとつに、自分で自分の値打ちがわからなくなってくることがあるような気がする。会社の目標はコロコロと変わる。自分が意欲的に取り組んでいた仕事がいつのまにか低評価になることもある。「そんなことして何の役に立つの?」と上司に聞かれ、「ああ、そうなのかも・・」と弱気になって、「自分はこの会社の役に立てていないのかもしれない」とか「もう自分はダメなのかもしれない」と思うこともたびたびある。意識高い系の方は違うのかもしれないけれど(笑。自分のやってる仕事は面白いし、まだやらなければいけない余地はいっぱいある。自分なりに世間様に役に立ってるのではと思うこともある・・でも、会社はもっと新しいものを、もっと目先の違うものを、もっとすぐに金になるものを・・と追い立ててくるのだ。そうやって自信をなくしてくると、会社や上司の荒っぽい仕事の指示についついあらがえなくなり、ずっと育ててきた仕事をつい手放したくなることもある。
 そんな時に自分の勇気を奮い立たせてくれるのは、直に接しているお客様の声であったり、思わぬところからの評価の声であったりする。先日、ずっとやってきた仕事が業界団体からの賞をいだだけるというお知らせをもらった。小さな賞ではあるけれど、本当に頑張ってきた仕事だったから本当に嬉しかったし、ちゃんと見ていてくれる人はいるんだなあと嬉しくなった。そうやって、自信が持てると、今直面している仕事であったり、会社とのやりとりにも余裕(笑がでてきて、上司とももう一歩突っ込んで話ができるようになった。もちろん上司の方も頭ごなしのような雰囲気が少なくなったような気もする・・。いやいや、人間というのは現金なものである・・。しかし、もっと早く自分の価値を自分で知ること、自分の位置づけを正しく知ることはできたのではないか、ちゃんと自分が動いていれば、社外の人や色んな人に聞いて自分の価値を示していれば、つまらない卑屈な気持ちに陥ることはなくもっと積極的に会社と話ができたり、会社とももっと別の考え方や解決方法を考えつくことができたかもしれない。
 今回のさなぴーが自分で自分の楽曲を配信して、大きく支持され、大きな売り上げを得て(それは全額本人の収入となるものである)それがランキングなどで公表されたことは、彼らの価値を示す上で大きな大きな一歩だったように思う。どれだけコンサートの抽選が外れる人が多くても、どれだけ写真やグッズが売れても、それが明示されることはない。Youtubeの再生回数が何十万回を記録してもいくらの収入があったのかは明示されず、再生回数が他と比較されて順位づけられるだけだ。ファンはきっと大きく支持をしてくれている、もちろんパフォーマンスだって素晴らしい。でも、それは会社の中だけのもので、すぐに可視化されるものではないし、見えないものを会社が「きちんと」評価するとは限らない。会社は今現在の目標に縛られて、潜在的な価値だったり、外からの評価を案外わかってないこともある。でも、今回のさなぴーの行動によって、彼らがもし外にでれば、どれだけの支持者を、どれだけの収入を生むのがはっきりと可視化されたのである。世間における自分の値付けをはっきりと示すことができた、それは本当に大きな一歩のように思うのだ。さなぴーがやってのけたのことはすべての彼の仲間の先頭に立って大きく旗を振るものだったなあと、やっぱり思ってしまうのだ。
 別に、だから外に出ろというのではない。だから会社は間違っているんだと言いたいわけでもない。プライドを持って会社の中で頑張ることをきっと選択したであろう彼らにとっても、自分たちのキャリアと市場価値をきちんと示して、会社と渡り合うことができる可能性がでてきたのではないか、ということだ。みんなが活きるように、みんながプライドとやりがいと富を得ることができるように、存分に考えて、存分に話し合って、頑張って欲しい。会社もそれを踏まえて今まで以上にちゃんと考えて欲しいなあと思うのだった。外に出た人も、中に残った人も、きっとみんな幸せになる日がきっとくる・・と相変わらずのお花畑脳は思うのだった。