ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

Rock Opera R&Jを見てきました

 モロちゃんこと諸星翔希望くんが出演するRock Opera R&J(@日本青年館)を見てきました。なんだかんだと4回見て、回を追うごとに満足度が高まるステージでしたよ。おなじみシェークスピアロミオとジュリエットを近未来に置き換えて、70年代から80年代、90年代初頭までのロック系の音楽や歌で彩った音楽劇で、色んな意味で語りに語りたくなる・・そんなお芝居となりました。

 まずは、ストーリーの感想。今回のロミオとジュリエットは、安定してはしているけれど生きがいを奪われた若者たちが、恋愛という衝動というものに出会いそれに殉じていく悲劇と言う物語。そして、その美しさの背後に潜む大人たちの秘められた欲望。そこには寄る辺ない人生を正気を保ち退屈せずに生きていくために、衝動に駆られる若者たちを生贄にしているようにも見え、でも一方でそれはただ単に若者たちの駆け抜けていく様子をそのまま開放しているだけにも見え、人間の思いの複雑さ(猥雑さともいう)みたいなものをとっても感じましたね。主役のジュリエットとロミオの若い二人のエネルギーと初々しさ、そして裏主役といってもいいようなヘレナとロレンス(本当に陣内さんだからこその役)の一筋縄ではいかないしぶとさ(みたいな何か)が強い対比になっていたように感じました。登場人物が誰も彼も自分を生きていることのいやらしさみたいなのはちゃんとあったなあと。人生50年を過ぎて、今だから思う矛盾した思いが、舞台に詰まっているようにも思えました。

 その中で、モロちゃん演じるベンウォーリオはある意味すっごくまっとうな感覚で生きている、だからこその残酷さや筋の通し方を知っている、そんな人物のように思いましたよ。可愛い恋人とフツーに恋愛してて(エヴァへの笑顔とかアピールとかホント可愛い)、真面目に将来を考えてて、グループの盛り上げ役もまっとうし、一方で恋に溺れたロミオに対してもグループの掟をきちんと守って対処する。この世界の壁を認識してその理不尽さも歌いあげられる知性もある。そして、自分の未来を自分でつかみ取る。まっとうな合理主義者で、だからこその割り切りのよさというか世知辛さをしっかり表現できていたなあって感じましたね・・。
 このお話の中のモロちゃん。書いたように物語の役割も重要だったし、ふり幅が広いベンヴォの表情の一つ一つの演技がすっごくリジットにしっかりと演じてたなあって感じましたよ。しっかりとしててかつ豊かな情感。声もよく、歌もしっかり歌えてて、そして、恋のファンファーレでは思いっきりのダンスも披露してくれてて。任された役割の大きさ、多さに、周囲からの期待の大きさとそれにちゃんと応えられている様子が本当に誇らしかったです。何より素敵だったのが、モロちゃんの体の使い方の大きさ。舞台で演じている時にはほかの俳優さんと変わらないくらい大きく見えるんですけど、カテコの時の背の高さとかほっそりした体型を見ていると、本当に大きな体の使い方をしているんだなあって実感しましたねぇ。

 次に、音楽!。私にとって80年代のロックといえば、本当に青春時代で、振り返ればオタクみたいな生活の第一歩を送ったジャンル。そして、ロック音楽というのは本当に幅が広い。その見本市みたいなところがあるこの作品は本当に懐かしく音楽の力にどーんとやれました。

 近未来の望みなく生き続けることを権力から許された世界の退屈さを轟音で鳴り響き世界をぶったたいていくパンク曲。70年代までには確かにいた心底ワルなやつらが唄い語るブルーズ。享楽とアートの中でグルーブを探しだすファンクな力。世紀末にでも元気にたくましく弾ける女子たちのロック。グランジでメタルでパンクで文学系オタクが痺れる全部合わせてのオルタナ。せつない二人の気持ちが絡み合い増幅しあい溢れだす思いのうたの後、そして、尾崎、尾崎豊が登場。原典はもちろん別にあるんだろうけれど、その歩みと死がこのシチュエーションとどうしても重なるロックロールナンバー。アコギだからこそのロックの物悲しさに浸り、そして、エイトビートって最高で、みんなが鼓動を一つに盛り上がるロックンロールの宴で終わる一幕・・。音楽についてはパンフレットの中で、詳しく語られていますが、本当にどこを切り取っても自分の思い出がつながるってつながって、応援しているモロちゃんが出てると言うだけでも欲目200%なのに、この曲のバリエーションには自分というものが重なり過ぎて、感想もまともに言えない・・そんな気分になりました。    

 個人的に趣味ど真ん中と言えば、The Fenceが、オアシスで聖飢魔Ⅱ遠藤ミチロウなのにはもう降参って感じでしたよ。大嶋さんの曲作りもファンタスティックだったし、本当に本当に藤田玲さんカッコいい。曲前に、舞台の奥でガンと腕を突き上げるのが素晴らしくって、その後も、色んな要素を全部、きちんと表現できてて凄いなあとたまげました。そして、それにぶつかっていくモロちゃん。ある日には冷静に、別の日には怒りを込めて。ガンとぶつかっていくバージョンの時にはティボルトが真正面から煽り認めるようなしぐさをしてくださるのがたまらんかったです・・。本当にいいものをありがとうございました。最後にこんなツイもあげてくださって本当に嬉しい・・

  陣内さんもAKANEさん(ダニボのエイミー役で真田くんと一緒だった~)もコングさん、そして大嶋さん。みんなみんな歌い手の力量が凄い・・。ロックの素敵さ、歌うことのカッコよさをもう一度再認識したステージもなりました。自分にとって、自分の原点や今の思いを見直すような、素敵な舞台の経験でした。