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ラボを捨て、ビーチに出よう

どこにいたって君がアイドルだ

初めての新橋演舞場と三婆と安井くん(11/8)

安井謙太郎 ジャニーズ

 バリバリ昭和世代の田舎育ちなもので、「新橋演舞場でお芝居を見る」ってのにちょっとした憧れがあったりします。ばあちゃんたちが「東京行って、お芝居見てきたよ~」ってお土産話してくれる時のあの晴れがましさというかキラメく笑顔・・・そういうのがうっすらと記憶にあったりする世代です。

 だから、安井くんが、あの大竹しのぶさん、えりさん、緑子さん、段田さんと一緒に、あの有吉佐和子のあの三婆に出演する・・それを自分が見に行くってのはホントにおおごとで、我ながら昭和の人間だよなぁって改めて思った次第です。でも、いそいそと和食処での特別御膳を予約して更に気合いを入れましたよww。

 そんな風に気合い満々で乗り込んだ新橋演舞場。この日は大型バスから降り立つ団体さんも多くてご年配も多かったのですが、一方で制服姿のお嬢ちゃん、そしてご同輩風の方々など、幅広いお客さんに圧倒されましたね。やっぱり和装の方も多くて、華やかな、特別な雰囲気もある。それほど広くはないロビーに、お弁当いっぱい、かんざしなどの和装小物から佃煮までお土産いっぱい。食堂もたくさん(お客さんも多かった!)。まさに老若男女が幕間にごった返す様子を眺めていると、にぎやかな和のお芝居テーマパークに乗りこんだ感がありました。もういるだけで楽しい、楽しい。

  さて、お話の舞台は1964年。突然死んだ男の、本妻松子、お妾さんの駒子、そして嫁に行っていない小姑(男の妹)タキが、本妻の家に同居して色々と角突き合わせるという喜劇。何せ有吉佐和子原作なので、女性の自立とお金、老人の孤独、介護、それを取り巻く社会・・なんて色んな問題が描かれたりしている訳だけれど、それらに心悩ませながらも「たくましく」生きていく人間たちの逞しさやアケスケさがものすごく面白く演じられていて、少しだけ状況をずらせば全然今でも通じるようなお話で親近感があったなぁ。

 生活を美しく保って気丈にプライド高く生きて行く専業主婦、ひとに取り入ることは絶妙に上手い愛嬌だけで世間を渡って行く水商売系女子、そして親の遺産でひたすら生きて行くプロニート女子。今でも、今だからこそ?、同じ様な光景はすぐ近くにあって、人間て変わらないんだな~と再認識させられた気がする。

 それに、3人とも人に頼って生きてきた人間だけれど、人に頼って生きてきた人間の逞しさみたいなものが描かれていてるのがいいなぁって。駒子さんの人たらし術、どんなに嫌いな人間でも必要とあればすぐ取り入るあの術とか、おタキさんの社会的には凄くマズそうな、でも一人で生きてきたからこその世渡りの術(頼れるものは全部頼る、生活保護も申請するってのには参ったw)とか。今の世の中は、働いて自立するという図式がどっかで危うい世の中になってたり、人とのつながりがクローズアップされてる時代だから、反って今の世の中にフィットするのかなぁって感じたな。

 まあ、とにかくお三方が素晴らしくて。駒子さんの人たらし術も凄かったけれど、やっぱりえりさんがもう面白い。歩いてくるだけで、もうもう可笑しい。竹中直人のような立ってるだけでも面白い。何しても「えり、無双」と言いたくなるような凄い存在感だった。あぁ、これが主演張る人の、自分の力で一から叩き上げて、ここまでやってきた人の存在感なのか~って浸っちゃいましたね。そして大竹しのぶさんのぞんざいにしていてもあの可憐な感じ。えりさんとは違った意味で、怪物だな~って思いましたよ。

 そして、今回、松子さんのお手伝いさんのお花ちゃん役のあやのちゃんが凄くいい役で!現金で、強欲で、強気で、辰夫さんなんか全然尻にしいちゃってるけど、いい子で。役自体が面白いとは思うんだけれど、やりきってて凄く目立ってたなぁ。

 こんなアコギな4女優を支える天使な段田さんと安井くん。ほんとこの二人は天使でした。3幕の80歳代になった段田さんのおじいさんだからこその体技(よろよろと歩いてきてうっかり戸にぶつかったように見えて、実はちゃんと家の中に入っていったんだというヤツ)がめちゃめちゃ面白かった。じんわりにチョコチョコ面白さを利かせて、こちらも会場中の笑いを誘っておりました。

 やっすーの辰夫さんは、そんな中の舞台のオアシス。一人だけクセのない好青年なんだけれど、そこをはみ出さずきちっとやってる感。リーゼントなのでお顔の形とか、ちょっと特徴のある鼻筋のラインとか、しっかり見ることができたのは至福だったなぁと。さすがにカーテンコールの時の立ち姿と三方礼がとってもスマートできりっとしていてめちゃカッコよかったな~、アイドルっぽさは全く封印して、きちんとおとな感のある好青年をきちんと演じてあの世界の人になっておられました。

 この舞台に出演して、自分にそしてLove-tuneに持ち帰ることができるものは、それはそれは沢山あるんだろうけれど、同じ「ステージ」であっても、こんなに違うお客さんがいて、でも同じ様に舞台を楽しんでいる世界が広がってる。違ってるところ(男のお客さんも比較的多かったけど、緑子さん演じる駒子さんのアケスケな男女ごとの話になるとお父さんたちわらってたもんな~)もたくさんあるだろうけど、そこは「俳優」の世界なんだろうけど、もしかするとアイドルの世界にも繋がる何かがあるかもしれない・・きっとやっすーならそれを見つけてきちゃうんだろうな・・なんて感じた私的三婆初日でした。