ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

2016年10月24日夜のワンゼロさんのこと。

 10月24日に2回目のえび座を見てきました。みゅーさんのワンゼロさんのお芝居も前回以上に胸に迫るところがあり、クライマックスの将棋殺陣が終わったところではもう涙があふれてしまって。その感情が芝居を展開させる人物を演じるってことは凄いことだと思うし、そういう大きな役をやりきったみゅーさんは凄いなぁ。そんなワンゼロさんの感情のこと。

 18日の時にもすでにイシケンくんに対するワンゼロさんの怒りはものすごくて目のふち真っ赤にするくらいだったんだけれど、この日はそれ以上に怒りというか、不快感と辛さが先立つような風情だった。目線を上げることなく、顔をひきつらせるように、多田さん達にも切り捨てていくような言葉をあびせていくワンゼロさん。

 後になって入ったミリオンを除く、他のデジボメンバーは、自分たちのやっていること(企業テロみたいな)やイシケンくんが自分たちを裏切ったことに対しては嘲笑やバカ笑いや暴力的なそぶりするけれど、彼ら自身の感情を感じることはない。でも、ワンゼロさんには「辛い」であったり、「怒り」であったり、「不快」という感情がある。イシケンくんに無能と言われた頃のワンゼロはきっとそんな感情に翻弄されたことはなかっただろう。でも、今の姿は、おそらく知性のはじまりが生まれようとしてる姿なんだろうなぁと思っている。

 「暇つぶしのために」と言うワンゼロさんがニカーッと笑う、目をギラギラと輝かせて。それは、前にイシケンくんがデジボを率いて悪さをしていた時と同じ言葉だった。この背中に貼りつくような暗い笑い。憎いイシケンくんへの復讐心もあるだろうし、もしかすると、当時のイシケンくんの本当の動機になっていた思い、生きがいもなくただ時間をつぶしていくしかない思いの暗さを、知ったと思えたひそやかな喜びだったのかもしれないなぁと思う。

 桂馬戦。あの激しい集団殺陣の中でで、ワンゼロさんはずーっとずーっと辛そうな表情なんだよね(すみません。もうずーっと双眼鏡でガン見してました:反省)。もちろんかっこいいところもあるけれど、殺陣の中にちゃんとワンゼロさんの怒りと辛さが溢れていていた。里見浩太郎さんも言ってる「芝居のひとつとしての殺陣」にちゃんとなっていたなぁ、ほんとあのお顔みんなに見て欲しかった・・・。

 こんなに感情に翻弄された姿をお芝居でみたのに、ショータイムのダンスでは本当にきれいでのびやかで誰よりも美しさに溢れていて。前回とは違って、最初の登場の時から、柔らかな笑顔で踊っているみゅーさんだった。はっちゃけることもなく、フォーマルすぎることもなく。モダンでコンテンポラリーなダンス。あのどこまでも伸びていきそうな腕と指の表情をずっと忘れられないんだろうなぁ。

 色んな表現を思いっきりできる現場をいくつも持てるのはやっぱり素晴らしいとしか言えない。とらを見るたび、とらのみゅーさんを見るたびにそう思う(2回目だけどw)。どうかご自愛だけは忘れずに、今の、この先の景色を見せて欲しい。そして、そんな景色を見ることができそうな自分の幸せものだなぁと思う。