ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

コインロッカーベイビーズ、2回目。

 6月14日に1週間ぶりのコインロッカーベイビーズ行ってきました。最初に見た時以上に明るいというかスピーディーな鬱積するものから解き放れた感があるお芝居になっていたように感じました。個人的には凄く明るい感じ。

 コインロッカーに捨てられたハシキクのどうしても癒せぬ苦しみや、喧騒の世の中で狂っている(いく)人々。それらのゆがみや苦しみをまるで誤魔化すかように機能してしまう周囲の思いやりや愛。そして、そういうごまかしの世の中をぶっ壊す、東京を破滅させるキクとアネモネ。この物語にはいっぱいの恐ろしいものが詰まっているのにも関わらず、一貫して明るくて、ハッピーな気分にさせてしまうような全体のお話し作りが、より徹底したように感じました。

 70年代から80年代初頭に散見した硬直した世の中をぶっ壊そう、消滅させようとする物語は、世紀末の自分自身の存在への不信からの自己破壊の物語に変化し、そして今また外部世界を破壊する物語を作り出そうとしてるように思います。それも現実の問題として。そのような世相の中で、この舞台コインロッカーベイビーズは隠喩かと思うくらい破壊による再生の歌を軽快な音楽劇の中に秘めさせて、そして最後に爽やかなアイドルの表情で「これが俺たちのコインロッカーベイビーズだ」と宣言する。そのあやうさと逞しさのバランスが絶妙で、そこがたまらなく癖になるのかもなぁと思いました。

 ひとりひとりの演者の得意分野を、持ち分を存分に発揮させること、それを上手くはめ込んでいくこと。アイドルも、ミュージカルスターも、ロックミュージシャンも、お笑い芸人も、俳優も、それぞれ特有の役割を与えて、なおなつ相互に馴染ませること。そこが見事にはまった舞台だったなぁと思います。何より発想と構成の勝利だったな。いいお芝居をみることができて感謝の気持ちで一杯でした。こういう舞台に連れてきてくれて、ほんとさなぴ、ありがとう。

 

 あとは、2回目のミーハーな感想をとりとめなく

  • このところジャニーズのチケット取りにいっぱい苦労しているということもあって、橋本くん&河合くんの唄が、それも舞台オリジナルの切なさがいっぱいの唄をたっぷり聞くことができるのはなんという贅沢なんだろうかと思った。今日は舞台も近かったので、はっしーの美しさも堪能できたし、とっても贅沢だったな。
  • この日は、河合くんが力がみなぎってカッコよく見えた。筋肉の張りも声の張りも素敵だった。カーテンコールのフロアに降りてきてる時にすぐ近くで、その時のキラッキラぶりが凄くて。もうねお顔の筋肉や線が全部外向きで、発光してた。ほんとアイドルって感じだったなぁ。
  • 橋本くんは狂いっぷりが2倍くらいで、すごくシンドそうに見えた。、ハシの孤独な、辛さのかたまりのような魂がすぽんと入ってしまう感じ。よく、憑依型の俳優というけれど、今回の橋本くんはそんなタイプに感じた。プロの俳優さんとはちょっとアプローチが違うんだろうけど、こちらの感性を直に刺激するお芝居と歌。
  • 特に、地下クラブで男娼っぽいというか、まだ若い子が色気売りさせられるような振付で踊る曲があるんだけれど、その微妙に無理に、微妙に自分から進んでくどい振りをするところが、いじらしさと計算高さが同居しているところが凄いなぁと感じた。
  • 一方で、さなぴのお芝居は原作を読み込んで、一人一人の人物造形を明確にしてる演じ方に思えた。役を掘り下げているというか、こう演じたい、こういう人だと思うというイメージが明確にあって、それをお芝居にする時のプランがあって、そのために空間をどう使うか、体の一つ一つをどう使うか、感情をどうもっていったら、実現できるのかを一杯考えたお芝居のようだった。本当に俳優さんらしい俳優さんのお芝居。
  • そんな風にいっぱい要素が詰まっているし、それが5役もあるから、本当に楽しい。みんなヘンである意味狂っている人たちだけれど、狂い方がみんな違う。そして、どの人にも愛情が注げる可愛さというか、弱さがある。そこが今回の5役の嬉しいところ。
  • タツオは股間気にし過ぎ、けいれんし過ぎで、興奮しすぎのネコっぽかった。山根は落ち着かない犬。ほんと可愛い。2階ステージに落ちつかなげな仕草を繰り返しながら登場するところから可愛い。ぎゅーっと抱きしめてあげたくなる可愛さ。なんだろうなぁ、あの可愛さ。サスケがきっと入ってるのではないかと迂闊にも思う可愛さ!病気や障害のある子のヘンだけれど可愛い部分、やっぱり純粋なところあるから、な可愛さがあったように思う。個人的に、狂って人を殺しちゃうところまで、すごく共感できるのが山根だった。
  • ダイバーは畳みかけるような口調がより強調されたし、レポーターはより一層細かく一緒に出てくる俳優さんたちと絡んでいた。全体に色んな要素が強調される方向に行っていたと思う。
  • でも、主役のお二人の気持ちの強さを上回っていない、サポートするお芝居になっているのが、ほんと俳優さんらしいお芝居になっているのが凄いなぁと思う訳で。主演のお二人のお芝居を、ほかの共演者の人のお芝居にうまく、スムーズにリンクさせるそういう役目を担っていたのかなと思った。

 

 まあ、そんな風にいっぱいいっぱい語れる訳ですが、最後に個人的に壺ったところと言えば・・

  • 山根が音におびえてうずくまって頭を抱えるシーンがあるんだけど、その頭の前頭から後頭方向に長い楕円形がはぎちゃんそっくりで驚いたこと
  • スノーマンのさっくんが「すの日常」で、ダイバーのことをいつもみているさなぴ見たいなtこと書いていたんだけど、そのダイバーの目付つきがやたらカッコよくって、普段からあんなカッコいい目つきで上半身脱いでるのかと思ったら軽く死ねるなぁと思ったこと

・・でしょうか。結局、はぎちゃんはぎちゃんと。ああ、本当に色んな面で楽しい舞台でした。またぜひに!