ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

2016年6月のはぎやす

 はぎちゃんファンなら当然避けては通れない「はぎやす(萩安)」というやっすーとのシンメを表す言葉。とはいえ、いわゆる現場に行けないファン、それもど新規の自分にはその実態がなかなか実感できない幻の現象。それでも揺るぎないシンメを誇る二人が、ようやく6月8日のザ少年倶楽部でふたりだけのキスマイの「感じるままに輝いて」を披露してくれた。 

 さなぴとみゅーさんの男らしい色っぽさを感じるアグレッシブでゴリゴリしたダンスチューンのBOMBの後に、キラキラした「感じるままに輝いて」のイントロが重なる。ステージに設えられた大階段の上に、白く明るい輝きの中に、背中合わせに立つ白い衣装のはぎちゃんとやっすー。その輝きに思わず、声をあげてしまった。空気が澄んでいくような、こころが涼やかになるようなたたずまい。本当に綺麗な形の二人に圧倒された。幼そうに見えもするし、ピュアでもあろうし、強くて、光の中にいることの嬉しさが伝わってくるような柔らかいけれど自信に満ちた強い表情。

 そのふたりが「何十回も何百回も願って、何千回も何万回も夢見て」という苦労のかたまりのような歌を爽やかに唄いながら、輝く階段をすーっと降りてくる。そしてふたりのユニゾンのダンスを披露を少しだけ披露する。嬉しさといくばくかの荒ぶる気持ちがリズミカルに表現されていく。そして、やっすーのアップの表情で演目は終わる。その間、ほんの1分くらい。短い、短い、はぎやす二人だけの時間。

 二人ともスタイル抜群という訳でもないし、超美形という訳でもない。ダンスも凄く揃っている訳ではないし、感情表現だって似ているとも言えない。意気投合している様子を見せる訳でもないし、いちゃいちゃしている訳でも勿論ない。背中合わせの体制から始まって、一度も目を合わせることもなく、それぞれの気持ちを、同じポーズ、同じダンスの、同じリズムの中で表現していく二人。ただ一緒に踊っているだけのようにも見える。でも、腕を振り上げるタイミングや、その振り上げた四肢に乗って踏むステップのリズムの軽やかさは確かに同じで、揺るぎないものにも感じる。はぎちゃんが「この曲、ぼくたちみたいだね」と言ってクリエ公演に選んだ曲を、穏やかに健やかに、そして揺るぎなく踊るんだよな、はぎやすというものは。

 そして、続くバンドで、はぎちゃんはドラム、やっすーはボーカルと一緒のチームでそれぞれの役割を果たす。別々の、いくつかの、パーツが組み合わされて一個のいきものを作り出しているバンドの風情は、可笑しくも感情も迸っていて、いかにも今の二人のあり方を示しているんだろう。それでも、その前に現れていたほんの数十秒のはぎやすの穏やかで明るい光に満ちた美しさをきっとこれからずっと、蜃気楼のように追いかけていくんだろうな。やっぱり、案の定、はぎやすの魔法にかかってしまった6月8日の夜だった。