ラボを捨て、ビーチに出よう

Love-tuneから7ORDERへ:どこにいたって君がアイドルだ

音楽劇「コインロッカーベイビーズ」のさなぴが素敵だった話

音楽劇「コインロッカーベイビーズ」を6月7日の夜に見てきました。様々なLove-tuneのクリエレポに大いに刺激され、いてもたってもいられなくなり、赤坂へ突撃してきたという経緯。お恥ずかしいことながら、さなぴこと真田佑馬くんのお芝居を見るのは(おそらく)初めて、原作未読、観劇経験もごくわずかという、そして完全Love-tuneファン目線というスペックですので、知らぬが故の失礼を色々と書いてしまいそうですが、そこはご笑覧いただけるとありがたいかと。

  • 原作は未読だけれど、発表された80年代初めの空気感が濃厚に漂っていて、その頃青春だった自分にはとても馴染みやすい雰囲気だった。70年台末から80年代の初め。自由が生み出す価値観の崩壊と、その中で一人勝ちしていく経済至上主義的な暴力みたいなもの。すべてのものが同じ地平におかれるミクスチャー感。その雰囲気がつかめていれば、筋はだいだい掴めるし、逆に細かいところまではあまりわからない作り。原作を知ってる人は欲求不満になるかもとは思った。さすがに最後の方はなぜそういう展開?となんだけれど、やっぱりイデが発動しちゃうのね・・・と自分的にはちゃんと納得。
  • 音楽劇と銘打つだけあって、A.B.C.-Zの橋本くんと河合くんが存分に歌う昭和歌謡的な歌の数々、ヒロイン・アネモネを演じる昆さんののびのびミュージカルな歌唱、そして、ローリーのロック、ロック、ロック!。まさに80年代のミクスチャーな感じ。まだ古い時代の音楽も残っていて、新しい音楽がばーっと広がっていく感じがよく伝わってきた。それにしても、ローリーの立ち姿を見て、ロックスターってこんなにカッコイイのかと改めて感動。。特にオープニングのびっくりなお衣装ですらりと歌い踊る、そのおぞましくも美しい肢体はまさしくジギースターダストの再来と感じた。あらふぃふローリー。この方も奇跡。
  • とにかく主演の橋本くんと河合くんの歌がいい。寄る辺ない不安や切なさを唄うはっしーの感情がいっぱい詰まっているんだけれど、無垢な歌の数々。本当に心がかきむしられるようで。辛い思いを内に秘めて、一生懸命唄って、可愛さを演じていく姿。その重さに少しずつ壊れていく姿が少しだけ彼らのアイドルとしての像に重なって、辛い。本当に辛くなる。この音楽劇のハシは本当に橋本くんならではのハシだろうと思う。
  • 河合くんカッコいい。後半になればなるほど男前になっていく。特に、ヒロイン・アネモネととラブシーンがいっぽあいあって、そのシーンが本当に可愛い。エロくなくってリアルで、すっごく可愛い。なんかね、リアルに付き合ったら、幸せだろうなぁと思うくらい、生き生きとしていたなぁ。あとこの日はマイクが不調だったんだけれど、全然、気にもかけていない風で、まったくのマイクなしで唄ったりもしているんだけれど、本当に平然としていて、大したもんだなぁと思ったな。
  • さて、どうしても見たかった生のさなぴこと真田くん。事前のお知らせの通り5役をやっているんだけれど、私がさなぴのことをよく知らないからかもしれないせいか、その登場人物がでてきてしばらくして「あ、さなぴだった!」と思うことしばしばあった。ごく普通に舞台の俳優さんだった。
  • たとえば、この舞台をマンガに描くことに例えるとしたら、体の輪郭の線の描く道具から違っているような感じ。体の線が明確に見えて、演技のメリハリが違っている見える。この舞台はミクスチャーで、ジャンルが違う人が集まっているんだけれど、さなぴは(限りなく)舞台俳優で、主演のふたりを盛りたてる舞台の一員の役割をちゃんと担っていたように思えた。
  • それにしても、さなぴの声が本当に素敵だった。いつも書いているけれど、滑らかで弾力性がある声。セリフもすごく聞き取り易くて、いつまでも聞いていたかったなぁ。
  • さて、さなぴの5役、みんな狂っているんだけど、ひとりひとりどういう狂い方をしたのかが伝わってくる。1部のキレた若者はおそらくヤク中なのだろうし、ダイバーの神経質でしっかり構築してきた人ならではの箍が少しずつ外れていく様子、そしてキクのムショ仲間の、おそらく器質的に普通でないだけなのに世界に嵌れないだけなのに、爆発してしまう。つまりは、元は全員、「狂ってはいない」、でも、何かのきっかけがあり、世界の中で狂わされしまう。そういう個人の持つ背景が伝わってくるお芝居だった。すごく構築的で、感性の人ではないなとまずは思う。
  • 一番好きだったのは最後の子かな。髪の毛が銀髪っぽくって、すっごく可愛い。髪がふさふさでちょっと動物っぽいピュアな可愛さというかヘンさというか、そういう人間でないかわいいものの感じ。あの子は狂っていないんだよー。単なる可愛い動物なんだよーって泣きたくなった。そして、その子のシーンでは殺陣というかアクションシーンもある!このアクションも体がきれいにすみずみが遅れず動いていて素敵だった。
  • そして、カーテンコールのさなぴは大きく綺麗にターンしてくれて、すごく躍動的でアイドルかっけーって感じに様変わり。にっこにこで、いっぱい手を振っていて、えびのおふたりが客席に出ている時には、客席のところに降りる階段のところでぐっと身を乗り出して手を振っていたのが、あぁアイドルだなぁ、ジュニアだなぁって・・・。ほんとキュンキュンしちゃって、なんかも一粒で二度も三度も美味しかったなぁ。

さなぴ、当たり前のように、技術もあり、しっかりと役に向かい合い、演じることが大好きな素敵な俳優さんでした。そして、そういう人がアイドルとしている我がLove-tuneの凄さ(そりゃ、やっすーも最初にグループの特色としてあげるよね)を改めて感じた次第です。ここのところ、ちょっとしたモヤモヤな気分もあったけれど、パフォーマンスを見たら「うん、凄くいい、Love-tune!」と思えてしまいましたよ。うん。